建築業界はデジタル化の推進に伴い、幅広い業務でパソコンが使われています。特に、CADやBIMなどの3DCGを使った業務では、高度な処理能力を持つパソコンが求められます。
これらの業務では、画像処理や大容量データの取り扱いが多く、パソコンの性能が作業効率に直結するからです。
そのため、用途や作業内容に応じた適切なスペックのパソコンを選ぶことが重要です。この記事では、建築業界におけるパソコン選びのポイントや必要な性能について詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
※ 製品の情報や価格は2025年1月21日時点の情報となります。
- 建築業界でのパソコン業務とは?
- 建築業界で使うパソコンのスペックはソフトウェア次第
- 建築業界で使うパソコンを選ぶ9つのチェックポイント
- 建築設計用パソコンで揃えておきたい周辺機器
- 建築業界の仕事におすすめ!マウスコンピューターのパソコン・ワークステーション
- まとめ:建築業界用のパソコンはソフトウェアの推奨スペックを目安に決めよう
建築業界でのパソコン業務とは?
建築業界では、パソコンを活用して多岐にわたる業務を行います。主な業務は次のとおりです。
・3Dモデリング:建物の立体モデルを作成し、設計の可視化やシミュレーションを行う
・図面作成:建築図面や詳細図を作成する
・積算:建築に必要な材料やコストを計算し、予算の見積もりを行う
・デジタルツールで施工管理:工事の進捗や品質、安全管理を行う
・建物の完了検査:完成した建物の検査や評価を行う
・建物の管理、運用:完成後の建物の維持管理や運用を行う
・一般的な事務作業:文書作成やデータ管理などの事務作業を行う
特に、建築業界ではCAD(Computer Aided Design:コンピュータ支援設計)が広く使用されています。また近年では、3次元モデルを使い、建築の設計から施工、維持管理までを一元管理するBIM(Building Information Modeling)の利用が進んでいます。
これらの業務では、複雑な3D設計や大容量のデータ処理が求められるため、高性能なパソコンが必要です。
建築業界で使うパソコンのスペックはソフトウェア次第
建築業界で使用するパソコンのスペックは、利用するソフトウェアの推奨スペックに応じて決まります。主なソフトウェアの種類は次のとおりです。
・CADソフトウェア:設計図面の作成に使用する
・BIMソフトウェア:建築情報の3次元モデル作成や情報の管理など、業務全体で使用される
・3Dモデリングソフトウェア:立体的な3Dモデルの作成に使用される
・構造設計ソフトウェア:建物や構造物の安全性・耐久性を評価する際に使用される
推奨スペックより性能の高いパソコンを用意することで、作業の効率化やソフトウェアの安定した動作が期待できます。
使用するソフトウェアの推奨スペックを確認し、それを上回る性能のパソコンを選ぶことが大切です。
建築業界で使うパソコンを選ぶ9つのチェックポイント
建築業界で使うパソコンを選ぶチェックポイントは、次の9つです。
・OS
・CPU
・メモリ
・グラフィックス(GPU)
・ストレージ
・ディスプレイサイズ
・解像度
・Microsoft Officeの有無
・堅牢性
各ポイントを詳細に説明します。
1|OS
パソコンの主なOS(Operating System)にはWindows OSとmacOSがありますが、建築業界ではWindows OSが一般的に使用されています。
その理由として、多くの建築関連ソフトウェアがWindows OSに対応しており、業務上の互換性を確保しやすい点が挙げられます。多くの企業がWindows OSを採用しているため、データのやり取りや共同作業も円滑に行うことができます。
さらに、Windowsはカスタマイズ性が高く、ユーザーのニーズに応じてパーツの追加や交換が可能です。また、対応する周辺機器の種類も豊富で、汎用性に優れていることも大きな利点です。
2|CPU
CPUは、パソコンの処理能力に影響する中心的なパーツです。高性能なCPUを選ぶことで、複雑な設計データの処理やレンダリングがスムーズに行え、作業効率が向上します。
建築業界では、一般的な事務作業にはIntelのCore™ i5やAMDのRyzen™ 5以上のCPUが適しています。
しかし、CADやBIMなど高度な画像処理を伴う業務には、より高性能なCore™ i7やRyzen™ 7以上のCPUがよいでしょう。
将来的なソフトウェアのアップデートや新技術への対応も考慮し、余裕のあるCPU性能を確保することが望ましいです。
3|メモリ
メモリは、CPUが処理するデータを一時的に保存して処理速度を上げる役割を担います。ソフトウェアの動作や、マルチタスクの効率に影響を与える重要な要素です。
建築関連のソフトウェアは負荷が重いことが多いため、最低でも16GBのメモリが必要です。
さらに、複数のソフトウェアを同時に使用したり、3Dモデリングやレンダリングを行う場合は、32GB以上のメモリを搭載することをおすすめします。
十分なメモリ容量を確保することで、作業中のフリーズや遅延を防ぎ、効率的に業務を進められます。また、将来的なソフトウェアの高度化やデータ量の増加にも対応できるよう、メモリの増設が可能なモデルを選択しましょう。
4|グラフィックス(GPU)
グラフィックス(GPU)とは、主に画像処理を担当するパーツです。建築業界においては、3Dモデリングなどを行う際の効率に影響します。
一般的な事務作業では、CPUに内蔵されたグラフィックス(GPU)で十分対応できます。しかし、CADやBIMソフトウェアを使用する場合、複雑な画像処理を行うため専用のグラフィックス(GPU)が必要です。
具体的には、NVIDIAのRTXシリーズやAシリーズ、AMDの Radeon RXシリーズなどが挙げられます。具体的な製品については、ソフトウェアの推奨スペックを確認したうえで、余裕を持った選択をしてください。
5|ストレージ
ストレージは、データを長期的に保存するパーツで、建築業界では大量の図面や3次元モデルのデータ、その他管理データなどの保存に使用されます。
ストレージはSSD(ソリッドステートドライブ)とHDD(ハードディスクドライブ)の2種類があり、それぞれ読み書きの速度や耐久性が異なります。
耐久性と高速な読み書き速度を求める場合、SSDが適しています。特に、M.2 SSDはコンパクトでありながら高速なデータ転送が可能です。
一方、SSDは容量が大きくなるとコストが高くなる傾向があります。そのため、大容量のデータ保存には価格の安いHDD(ハードディスクドライブ)を併用する方法もあります。
たとえば、システムやアプリケーションはSSDに、プロジェクトデータやバックアップはHDDに保存することで、コストを抑えつつ大容量を確保できるでしょう。
6|画面サイズ
画面サイズは、パソコン作業の効率に直結します。大きなディスプレイは作業領域が広く、複数のパネルやツールを同時に表示できるため効率的です。
ノートパソコンの場合、持ち運びやすさも考慮すると14インチ以上がバランスの取れた選択といえます。
CADやBIMソフトウェアを使用する場合、図面の詳細や3次元モデルの確認が必要となるため、15インチ以上のディスプレイが望ましいでしょう。
デスクトップパソコンの場合は、24~32インチ程度を目安に、できるだけ大きなディスプレイを選択することをおすすめします。
これらの点を踏まえ、作業内容や使用環境に適した画面サイズを選択することが重要です。
7|解像度
ディスプレイの解像度も、作業効率や精度に影響する要素です。CADやBIMソフトウェアを使用する際、高解像度のディスプレイは3Dモデルの細部まで確認しやすく、フォントの可読性も向上します。
また、作業領域が広がり、複数のウィンドウやツールを同時に表示することが可能です。
14~15インチ程度のノートパソコンであれば、フルHD(1920×1080ピクセル)で問題ありません。16インチ以上のノートパソコンでは、WQXGA(2560×1600ピクセル)以上を目安にしましょう。
24インチ以上のデスクトップパソコンでは4K(3840×2160ピクセル)などの高解像度ディスプレイがおすすめです。
十分な解像度を確保することで、設計図や3次元モデルの細部まで正確に表示でき、作業の精度と効率が向上します。
8|Microsoft Officeの有無
建築業界では、提案書作成や予算管理など、多くの場面でMicrosoft Officeが使用されます。Microsoft Officeが搭載されていれば、Wordでの文書作成、Excelでのデータ管理、PowerPointでのプレゼン資料作成など、多岐にわたる業務に対応可能です。
また、Microsoft Officeが標準搭載されているモデルを選ぶことで、追加購入の手間やコストを削減でき、オフライン環境でも作業ができます。
ネット環境が不安定な現場での作業や、機密性の高いデータを扱う場合、オフライン作業への対応は重要な要素です。
マウスコンピューターでは、パソコン購入時にMicrosoft Office付きを選択できます。Microsoft Officeに関する詳しい情報は、下のリンクをご確認ください。
※ 機種によりご選択いただけない場合がございます。
9|堅牢性
建築現場や外出先での使用が多い場合、パソコンの堅牢性も重要です。耐久性や防塵・防滴性に優れたモデルを選ぶことで、過酷な環境下でも安心して使用できます。
特に、MIL規格(アメリカ国防総省が定めた品質基準)に準拠した製品は、高い堅牢性を持っています。なぜなら、落下、振動、湿度、温度変化など、さまざまな環境下での試験をクリアしているからです。
現場での不意の衝撃や、厳しい気象条件にも耐えられる設計となっています。使用環境や業務内容を考慮して、十分な堅牢性を持つパソコンを選択しましょう。
建築設計用パソコンで揃えておきたい周辺機器
建築設計用のパソコンには、作業効率と快適性を向上させるために、マウスや外付けディスプレイ、プリンターやスキャナーなどの周辺機器を揃えるとよいでしょう。
1つ目のマウスは、長時間の作業でも疲れにくいエルゴノミクスマウスや、複数のボタンを備え、頻繁に使用する機能を割り当てられるマウスを選ぶと作業効率が向上します。たとえば、サイドボタンにコピーやペースト機能を設定することで、操作がスムーズになるでしょう。
2つ目の外付けディスプレイは、作業領域を拡大し、複数のウィンドウを同時に表示できるため、CADやBIMソフトウェアの操作性が向上します。ノートパソコンに外付けディスプレイを接続してデュアルモニター(デュアルディスプレイ)環境を構築すると、3次元モデルや資料を並べて表示でき効率的です。
3つ目は、プリンターやスキャナーです。図面の印刷や書類のデジタル化には、A3サイズに対応した製品をおすすめします。特に、細部まで鮮明に印刷したい場合は、レーザープリンターを選ぶとよいでしょう。クライアントへの提案資料や、社内での確認用図面を高品質で出力できます。
これらの周辺機器を必要に応じて活用することで、建築設計業務の効率と品質を向上させることができます。
建築業界の仕事におすすめ!マウスコンピューターのパソコン・ワークステーション
マウスコンピューターは、スペックをカスタマイズして目的に合うパソコンを構築できるBTO(Build To Order)パソコンを販売しています。
ここからは、建築業界の仕事におすすめできる、マウスコンピューターのパソコン・ワークステーション(高い処理パフォーマンスを発揮するコンピューター)をご紹介します。
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3Dモデル制作や3DCG、CAD、動画編集などの業務に適しているため、ぜひチェックしてみてください。
※ 製品の情報や価格は2025年1月21日時点の情報となります。
1.CAD・BIMに対応「DAIV FX-I5N04」
OS | Windows 11 Home 64ビット (DSP) |
CPU | インテル® Core™ i5 プロセッサー 14400F |
グラフィックス | NVIDIA RTX™ A400 |
メモリ標準容量 | 16GB (8GB×2 / デュアルチャネル) |
M.2 SSD | 500GB (NVMe Gen4×4) |
通常価格 (税込) |
234,800円 |
DAIV FX-I5N04
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CADやBIMを始めたい方には、クリエイター向けワークステーションのDAIV FX-I5N04がおすすめです。
プロフェッショナル向けのグラフィックス(GPU)、NVIDIA RTX™ A400を採用しており、高度な3Dモデリングにも対応できます。また、ハイスペックなパーツを搭載できる内部構造になっており、カスタマイズ性にも優れたモデルです。
さらに、4K映像の4画面出力に対応しており、多様なシーンで活躍します。
2.高性能グラフィックス(GPU)を備えた「MousePro LP-I7N20」
OS | Windows 11 Pro 64ビット (DSP) |
CPU | インテル® Core™ i7 プロセッサー 14700T |
グラフィックス | NVIDIA RTX™ 2000 Ada 世代 |
メモリ標準容量 | 16GB (8GB×2 / デュアルチャネル) |
M.2 SSD | 500GB (NVMe Gen4×4) |
通常価格 (税込) |
362,780円 |
MousePro LP-I7N20
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小型でハイスペックなビジネス向けワークステーションをお探しの方は、MousePro LP-I7N20がおすすめです。
スリムタイプの筐体を採用しており、デスクスペースを有効活用できます。また、CPUには、性能の違う2つのコアを組み合わせ、適切なタスクを割り当てることで優れた処理効率を実現する、インテル® Core™ i7 プロセッサー(第14世代)を採用しています。
グラフィックス(GPU)は、高い電力効率や16GBのGDDR6グラフィックスメモリを備えたNVIDIA RTX™ 2000 Adaを搭載。負荷の重いCADやBIMでの作業を、高効率・高精度でこなすことができます。
3.正確な色表現ができる「DAIV R6-I7G60SR-A(3Dモデリング向けセット)」
OS | Windows 11 Home 64ビット |
CPU | インテル® Core™ i7-13650HX プロセッサー |
グラフィックス | NVIDIA® GeForce RTX™ 4060 Laptop GPU |
メモリ標準容量 | 16GB (8GB×2 / デュアルチャネル) |
M.2 SSD | 500GB (NVMe Gen4×4) |
サイズ | 16型 |
通常価格 (税込) |
254,800円 |
DAIV R6-I7G60SR-A(3Dモデリング向けセット)
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ノートパソコンでCADやBIMでの3Dモデリングを行う方には、ノートパソコン本体と左手キーボード、マウスがセットになった、DAIV R6-I7G60SR-A(3Dモデリング向けセット)がおすすめです。
高性能なCPU・グラフィックス(GPU)の搭載に加えトリプルファンを搭載しており、長時間の作業も安定して行えます。
また、ディスプレイは16型(WQXGA:2,560×1,600)の高精細液晶を採用。240Hzのリフレッシュレート、DCI-P3(デジタルシネマ向けの色域)100%に対応しています。
4.大規模な開発にも対応する「DAIV R6-I9G70SR-A」
OS | Windows 11 Home 64ビット |
CPU | インテル® Core™ i9-13900HX プロセッサー |
グラフィックス | NVIDIA® GeForce RTX™ 4070 Laptop GPU |
メモリ標準容量 | 32GB (16GB×2 / デュアルチャネル) |
M.2 SSD | 1TB (NVMe Gen4×4) |
サイズ | 16型 |
通常価格 (税込) |
319,800円 |
DAIV R6-I9G70SR-A
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ノートパソコンで高負荷なCADやBIMでの作業を行いたい方は、ハイスペックなパーツを多数採用したDAIV R6-I9G70SR-Aがおすすめです。
ハイグレードモデルの第13世代 インテル® Core™ i9プロセッサーや、クリエイティブソフトウェアとの組み合わせでより高いパフォーマンスを発揮する、NVIDIA® GeForce RTX™ 4070などを搭載しています。
さらに、メモリは32GBのDDR5メモリ、ストレージは1TBのM.2 SSDを採用。メモリは最大64GBまで、ストレージは最大6TBまで増設可能です。
クリエイター向けパソコン「DAIV」をご購入いただいたお客様の声
まとめ:建築業界用のパソコンはソフトウェアの推奨スペックを目安に決めよう
建築業界で使用するパソコンを選ぶ際は、使用するソフトウェアの推奨スペックを基準にすることが重要です。
CADやBIMソフトは高い処理能力を必要とするため、CPUやメモリ、グラフィックス(GPU)の性能が作業効率に影響します。
また、ディスプレイサイズや解像度も作業効率や快適性に影響する要素です。さらに、建築現場での使用を想定し、堅牢性もチェックしておきましょう。
マウスコンピューターでは、建築業務の多様なニーズに合わせたパソコン・ワークステーション選びが可能です。公式サイトでは、定期的にお得なキャンペーンやセールを開催しているので、ぜひチェックしてみてください。