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CG Director/Art Director 横原大和

ヴァーチャル表現・ツールが進化し続けるからこそ、クリエイターの“熱”と“意図”が求められる

CG Director/Art Director 横原大和
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クリエイター向けPC DAIV

CMや映画のみならず、幅広いジャンルのハイエンド映像作品に携わっている横原大和さん。3DCGのディレクションやコンセプトデザイン、アートディレクションなど、いわばCG界のスーパージェネラリストとして熱く支持されている横原さんの“仕事”は、どのような思考プロセスを経て完成しているのでしょうか? その頭の中を覗かせてもらいました。

学生時代に感じた、CGという“可能性”と“衝撃”

もともと映画が大好きな子どもでした。そして小学校高学年の頃に“CG”というものが世の中で勃興してきて、映画がデジタルへと移行しはじめたんです。そんな時代のなかで観た『ジュラシック・パーク』や『トイ・ストーリー』などの作品に衝撃を受けたのが、今にして思えば3DCGの道に進むことになるきっかけでした。

人間というのはこんなにもすごい映像を、テクノロジーを通じて作り上げることができる――ということを知って以来、CGの可能性に大いに興味を持ちましたし、単純に「CGって面白そう!」と思ったんですね。

そして専門学校に通っていた20歳頃に観た、新海誠さんの『ほしのこえ』という約25分間のフルデジタルアニメーション作品が、私に第二の衝撃を与えました。こんなにも素晴らしい作品をたった1人で、しかもPC1台だけで、作ろうと思えば作ることができる――という事実に感激し、さっそくCGソフトを購入。そして独学でCGの制作始めたのが、20歳の頃でした。

学生時代に感じた、CGという“可能性”と“衝撃”

CG作品を「1人で完結させてきた」という経験が、今に繋がる

学校を卒業すると就職はせず、企業から発注されるCG制作の仕事をフリーランスとして請け負うかたわら、“作品づくり”に没頭していました。

作品のほうではフルCGだけでなく実写もやりましたし、2Dアニメーションの作品も作っていましたね。その「多種多様な表現方法を、自分1人で完結させてきた」という経験が、現在のKhakiにおけるジェネラリストとしての仕事に役立っているとは思います。

作品作りと並行して行っていた「3DCGおよびVFX制作の仕事」がかなり忙しくなってしまい、学生時代からの友人2人と計3人のチームを組んで仕事をするようになったのが、現在のKhakiの前身です。

そしてさらに忙しくなってしまった状況をなんとかするためというか、物事をより合理的に解決しつつ長期的に発展させるため、2016年に法人化したのが「株式会社カーキ」ということになります。

作品が本来持っているはずの“熱”が、失われない創作を

3DCGというのは、出来上がった作品自体はきわめてエモーショナルに見えるものですが、その制作工程には“直感性”がありません。つまり絵の具を使って絵を描いたり、身体を使ってダンスをするなどの表現行為と違い、あくまでも合理的な手順を何ステップも踏まなければ絶対に完成しない表現行為なんです。

そのためどうしても、制作の課程を通じて「作品が本来持っているはずの熱量」が減じてしまうのはよくあることです。また最新のテクノロジーにひもづいている分野だけに、「いくら今がんばって作っても、10年後には陳腐化しているかもしれないし……」というような“迷い”も、作品から本来の熱量が減じてしまう要因かもしれません。

そういった熱量の減少を防ぐために僕が心がけているのは、「テクノロジーだけに振り回されないようにする」ということです。テクノロジー自体を追いかけるのではなく、「たった1人でも構わない。誰かの“心”に届く何かを、自分は作るんだ」と決めたうえで制作を開始すれば、どんなに煩雑なステップを踏んだとしても、出来上がった作品から“熱”が失われることはありません。

作品が本来持っているはずの“熱”が、失われない創作を

「ただキレイな絵」を作ることに意味がない時代

3DCGやVFXの世界は今、僕が独学でCGを学び始めた頃とは段違いのスピードで進化を続けています。その昔は僕のような独学か、あるいは上手い人の横にへばりつくしか、学ぶ手段はありませんでした。しかし現在では情報共有が進み、例えば地球の裏側からでも「世界で一番3DCGづくりが上手な人」の手法を学ぶことは可能です。

そのため、昔であれば最低10年は経験を積まなければできなかったようなことも、今では2年ぐらいできるようになるかもしれませんし、それこそAIを使えば、「キレイな絵」を作るのはイージーです。僕もテスト的に検証として、プロンプトのみでショートアニメーションを生成したりと、いろいろ触ってみてはいます。

そういった時代のなかで「ただキレイなもの」「平均的なもの」を作ることには、あまり意味がないような気がします。自分という不完全な、しかし意志と意図を持つ人間が、最新のテクノロジーを駆使して“何”を作り、“誰”に伝えようとしているのか――ということを今一度整理することこそが、現代のクリエイターにとってはもっとも重要“作業”なのかもしれません。

「ただキレイな絵」を作ることに意味がない時代

CG制作工程

工程1:作品の設計図作り

工程1:作品の設計図作り
まずはリファレンス集めやプリビズ(映像を実際に制作する前に、完成した状態を想像できるシミュレーション映像)などの作業を行うわけですが、Khakiでは、クライアントが作成した設計図を受け取るのではなく、コンセプトなど設計段階から関与しています。設計図におけるそもそもの意図と意味を明確にしておかない限り、制作の過程でどうしてもブレやクオリティの低下を招いてしまうからです。

工程2:モデリング/アニメーション制作

工程2:モデリング/アニメーション制作
設計図作りとプリプロダクションがしっかり決まったら、あとは通常どおりの制作過程に入ります。つまりモデリングやアニメーションなどの各要素を分業で作っていくわけですが、ここでも「そもそもの設計図」の存在が重要となります。決して無限ではない納期と予算のなかで、どの部分をあえてラフめに作るのか? 逆に作り込まないといけないシーンはどこなのか? ということをハッキリさせることで、結果として、作品の総合的なクオリティが上がるです。

工程3:仕上げ作業(ライティング/レンダリング/コンポジット)

工程3:仕上げ作業(ライティング/レンダリング/コンポジット)
工程2で作ったそれぞれの要素やシーンにライティングやコンポジット、グレーリングなどを加えながら「ひとつの作品」としてまとめていく作業を行います。ここでも意識するのは「そもそもの企画意図」です。人が観て「いいな、キレイだな」と思えるレベルに整えるのは当然ですが、そのうえで「この処理は“そもそもの意図”に合っているのか?」ということを再確認しながら作業を進めます。

体感速度は使用していたPCの1.5倍で、ほぼワークステーション並み

他のクリエイターさんも言っていることかもしれませんが、「とにかく速い!」というのは間違いないですね。Khakiでは以前、ワークステーションを使っていたんです。というのも1世代前のPCだと、最上位機種であってもKhakiが求める仕事はなかなかできなかったからです。

しかし今回お借りしたDAIVは、誇張抜きで「ワークステーション並みの作業ができる」と言っていいでしょう。体感ですが、すべての領域の作業において1世代前のPCの2倍は速いですし、自分が今まで使用していたメインマシンと比べても、日々のオペレーション時のレスポンスは1.5倍ほど速いと感じます。オペレーションが1.5倍速になったことで、仕事全体としては2倍効率化されたように感じます。頭の中でイメージしたことがほぼリアルタイムにアウトプットされるので、とにかくストレスがないんですよ。

そしてこれも多くの方が指摘しているポイントですが、DAIVに付いているキャスターは本当に素晴らしい。デスクトップであっても意外と移動させる機会は多くて、以前使っていたMacは台車に載せたままオフィスに置いていましたが(笑)、DAIVなら、そのような必要もありませんね。

体感速度は使用していたPCの1.5倍で、ほぼワークステーション並み
プロフィール

横原大和 (株式会社カーキ)
CG Director/Art Director

ジャンル問わずバラエティに富んだ多くのハイエンド映像作品に携わる。3Dアニメーションのディレクション、コンセプトデザイン、アートディレクションなどを得意とする。

■今回使用いただいたPC
製品名:DAIV FX-I9G90 (型番:FXI9G90B7ACCW101DEC)
CPU:インテル® Core™ i9-13900KF プロセッサー
グラフィックス:GeForce RTX™ 4090
メモリ:64GB
M.2 SSD:2TB
電源:1200W

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