既存の様式を乗り越え、
デジタルと身体性が融合した建築を
建築デザインスタジオ「ALTEMY」
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クリエイター向けPC DAIV
建築/インテリア/ランドスケープ/プロダクト/ビジュアルアート/ファッションなどにおいて、数々の新奇的な提案を手掛けている建築家チーム「ALTEMY」。物質的な建築と移り変わる環境の狭間で「身体性を伴った都市空間」の再構成にトライしているALTEMY代表の津川恵理さんと、同社デジタルデザイナーの戸村陽さんは“何”を考え、どんなテクノロジーを使って“身体性”を取り戻そうとしているのでしょうか? その手法と思考の根本に迫ります。
Photo by 生田将人
ALTEMYが過去に携わったプロジェクト。
建築ではなく、はじめは「身体表現」に惹かれて――
津川:大学と大学院で建築学を学び、結果として建築家になりましたが、もともとは建築よりも「身体表現」に興味がありました。小学生の頃からパフォーミングアーティストやスポーツ選手など、自身の身体を武器に表現行為をしている人をリスペクトする気持ちが非常に強かったんです。
そして自身もそちらの道へ進もうと決めていたのですが、親にとても心配されました。そのため高校2年生の冬、「身体表現」の道をあきらめたわけではなく、一時的な方向転換として、自分が本当にやりたいことにつながりそうに思えた「建築学科」に進んだというのが、この道に入ったさしあたってのきっかけです。
大学院を卒業すると同時に大手の組織設計事務所に就職したのですが、社会人になってからは、自身のもともとの興味がなぜかより先鋭化してしまい、しょっちゅう役員室に呼び出されていました(笑)。
そんな日々のなかで「このままでは、何かが違ったまま生きることになる……」と思い、退社を決意。そしてニューヨークのDiller Scofidio + Renfroで文化庁新進芸術家海外研修員として約1年勤務し、2019年に独立して「ALTEMY」を設立しました。
LAで最先端のデジタルを経験したのち、ALTEMYに合流
戸村:私は高校生の時は将来に関しては漠然と考えを抱いていたため、大学の建築学科を受験したはっきりとした理由は特にありませんでした。ただ小さい頃からSF、特に映画『スター・ウォーズ』などに出てくる空想上の建築物や世界観に惹かれ、夢中なのは今も変わりません。
しかし入学後も、大学で教わる建築設計にはいまいち興味が持てず、海外の専門誌に影響を受け、独学で3DCGの勉強を始めました。ちょうどデジタル技術が建築デザインの世界を変えようとしていた時期でしたね。
そしてデジタルの分野ではアメリカやヨーロッパの建築界のほうが断然進んでいることに気づき、日本の大学院在学中にロサンゼルスの「SCI-Arc M.Arch 2」を受験し、転院。修了後にロサンゼルスの「Gehry Technologies」に就職し、実務で超複雑系の建築物の3Dモデルを担当していた時に津川と知り合い、その後声をかけてもらってALTEMYに参加することになったんです。
人それぞれの身体性と偶然性を、あぶり出すような建築
津川:私たちがALTEMYの仕事を通じて実現させたいと思っているのは、生身の身体感覚や偶然などがもたらす価値を、デジタル技術を活用しながら、より研ぎ澄ましていくということです。
例えば――あくまで一例ではありますが、広場には画一的な作りの四角いベンチを置くのではなく、「どこを取っても同じ幅や高さの箇所はひとつとしてない、弧を描いたベンチのようなもの」を設置する。そうすればどんな体型の人であっても、またはどんな気分であったとしても、そのときの自分に合った箇所に、気持ちよく座ることができます。
いや、座らなくたっていいのです。靴を脱いであぐらをかいてもいいし、寝そべったって構わない。高さが十分にあるポイントでなら、そこで立ちながらPC仕事をしたっていいでしょう。そういった「人ぞれぞれの身体性」や「リアルな空間ならではの偶然性」をあぶりだしていくような建築設計を志向する際に、私たち人間の発想と同時に、デジタルテクノロジーが大きな意味を持ってくるのです。
人間の精神性や身体性を突き詰めるとき、逆にデジタル技術が必要に
戸村:3Dモデルを作る際、一般的には「建築家やデザイナーが頭の中で考えた形を、とりあえずそのまま3Dモデルにする」という場合が多いかと思います。しかしそれだと、例えばベンチであれば「本当に人間が座りやすいもの」が出来上がるかどうかは、分かりませんし、自分の想像の範囲内でしかデザインが生まれません。
私たちが3Dモデルと作るときは、例えば自然界の“波”からインスピレーションを得た不規則な形状のベンチであれば、まずは基本となる線形をデジタルツールで作り、人が物理的に座れるマックスの高さと、ミニマムな高さだけを指定します。
そして「マックスとミニマムをつなぐ面の高さや曲率は、果たしてどうなればもっとも美しく、そしてもっとも座りやすくなるか?」ということを、3D上のさまざまなポイントから抽出した数値を使ってビジュアル化して検討し、その数値を何度も修正しながらスタディを繰り返します。
人間の精神性や身体性のようなものを突き詰めるため、逆に最新デジタルテクノロジーをフル活用している――といったニュアンスになるでしょうか。
制作工程
工程1:イメージに基づくコンセプトラフ制作
まずは「それが本当に使える?」はいったん度外視し、「そもそも“何”を実現させたいのか?」ということを、文章レベルのコンセプトとして考えます。そのうえで、そこで決定した内容をコンセプトラフに落とし込んでいきます。私たちが大切にしたいと考えている「身体性を引き出す」ということが本当に実現されているか? そして美術的な美しさはあるか? という部分は大切にしています。
工程2:3Dモデルに落とし込む
当初の抽象的なコンセプトがいかに優れていたとしても、実際の建築物や都市空間では利便性や安全性、機能性が伴っていなければなりませんし、さまざまな法規にも準拠している必要があります。そのため工程2では、いったん出来上がった抽象的なコンセプトを“リアル”に落とし込み、人間工学や既存のレギュレーションなどに合致できているかどうかを確認します。
工程3:建築図面に落とし込む
工程2で確認した機能性などを再度確認し、「この建築物は本当に機能的である」ということを証明します。例えば斜面があれば、その勾配率や幅などを正確に計算し、検証を繰り返しながら図面に落とし込みます。ただ、こういった工程1→2→3というステップを直線的に踏むと、どうしても「面白くないもの」になりがちです。そのため、工程3を終えたら再び工程1まで戻り、「自分たちは何をやりたかったのか?」ということを再確認しながら、工程1~3を円環的に繰り返していきます。
ノートPCであっても、何もあきらめなくていい
津川:DAIVのノートPCは、スペックの高さと、それと相反する重量の軽さに感動しました。グラフィックボードもCPUも最強レベルであるのに重量が2kgを切っている(※1)のはちょっとあり得ないですし、冷却ファンの性能も高く、デザインもシンプルで好ましい。
※1:標準構成での本体重量です。付属品およびケーブル類の重量は含みません。
ノートPCというのは普通、持ち運べるという利点がある分だけ「あきらめなければならないポイント」があるものですが、DAIVのノートPCは何もあきらめる必要がない。そこが、本当にすごいことだと思いますね。
戸村:私はオフィスにあるデスクトップPCのほかに、15インチのノートPCもモバイル用として使っているのですが、とにかく重くて、なかなか持ち運ぶ気になれないでいました。また、重い作業をする際の表面温度は火傷するほどになってしまいます。
そのため、重い計算などをする際は「仕方ないからオフィスに行って、デスクトップPCでやるか……」となっていたのですが、DAIVのノートPCであれば「わざわざオフィスまで行く」という必要がなくなります。レンダリングなどの作業をしたいときに、手元のノートPCでほぼリアルタイムにイメージを見ることができるというのは本当に素晴らしい。
丸1日かかるような作業を行う場合は、さすがに今使っているデスクトップPCのほうが若干速いのですが、それも“若干”でしかありません。「計算に丸1日かかるようなタスク」をする機会も、実はかなり少なかったりします。そのため、結論として「普段はDAIVのノートPCで十分以上」と断言できます。
ALTEMY
建築設計を初め、公共広場、ストリート実験、ランドスケープ、インスタレーションアート、テキスタイル開発などを手掛けるクリエイティブチーム。人の感性に働きかける作品づくりを目指し、4名のスペシャリストが集い、2019年に結成。代表の津川恵理は、文化庁新進芸術家海外研修員としてDiller Scofidio +Renfro (NY)に勤め、神戸市主催神戸三宮駅前広場のコンペで最優秀賞受賞を機に帰国し、ALTEMYを設立。主なプロジェクトに『神戸市サンキタ広場』(2021)、『Spectra-Pass』@ポーラ美術館(2021)、『Incomplete Niwa Archives』@山口情報芸術センターYCAM(2021)、鏡面風船を用いた『Urban Experiment vol.002,003』(2018,2019)、『タグコレ』展会場デザイン@角川武蔵野ミュージアム(2023)、など。国土交通省都市景観大賞特別賞、土木学会デザイン賞優秀賞、グッドデザイン賞、日本空間デザイン賞などを受賞。
津川恵理
ALTEMY代表
ALTEMYにて建築・環境デザインを担当。建築デザインにとどまらず、時に服飾デザインやプロダクト、アートピース、家具、環境、ランドスケープなどのデザインにも従事。芸術の力や最新の技術を駆使し、人の感性と建築と社会が結び付くことで、どのような社会的文化が生まれていくかを考察している。
戸村陽
ALTEMY デジタルデザイナー
ALTEMYにてデザインとアニメーション、ビジュアライゼーション、コーディングを担当。建築分野に限らず、テクノロジーがデザインにもたらす可能性を実験的に模索している。複雑な大型建築の三次元モデルをDigital Project (CATIA)やGrasshopperで作成、管理し、合理化も行っている。
■今回使用いただいたPC
製品名:DAIV Z6-I9G70SR-A (型番:Z6I9G70SRACCW102DEC)
CPU:インテル© Core™ i9-13900H プロセッサー
グラフィックス:GeForce RTX™ 4070 Laptop GPU
メモリ:64GB
M.2 SSD:2TB
パネル:16型 液晶パネル (ノングレア/sRGB比100%/Dolby Vision対応)
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