“ただただ“好きを追求した結果、少年は「高校生CGクリエイター」になった
CGクリエイター Yuma
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クリエイターPC DAIV
現役高校年生でありながら、CGクリエイターとして業界の最前線で活躍中のYumaさん。彼はどのような道をたどって“若きクリエイター”となり、17歳にして大手企業のCMに使われるほどハイクオリティなCGをアウトプットするに至ったのでしょうか? 「PARTNER」をテーマに新たに制作した3DCG作品と併せ、Yumaさんの“頭の中”を覗かせてもらいましょう。
きっかけは“コロナ禍”、PC初心者の状態から始まったCG制作
いわゆるデジタルネイティブと呼ばれている世代ですが、CGを作り始める前はWindowsにもMacにも触ったことがありませんでした。さすがに“触ったことがない”というのは大げさですが、小学校や中学校の授業で少し使ったことがある程度です。
本格的にPCに触れ始めたのは、新型コロナウイルスの影響で全国の学校が休校になっていた頃で、2020年の4月か5月ですね。小さい頃からロボットアニメや車が大好きだったこともあり、SNSで「STAR WARS」や「機動戦士ガンダム」などのCG作品を熱心に見漁っていたんです。
そのCGを制作した方が「BlenderというソフトでCGを制作している」と話しているのを見て、調べてみたんですよ。すると、どうやらBlenderは無料だということが分かって、「じゃあ自分もやってみるか」と思ったのが、CGを作るようになったきっかけですね。自分が作ったロボットや車などを“自由自在に動かしてみたい”と思ったんです。
前途多難、PCスペックで一度は諦めかけた道
3DCGを作ってみようと思ったのはいいですが、そのとき家にあったPCは父が使っていた10年落ちぐらいのノートPCで。当然グラフィックボードも入っていないので、CG制作をするには明らかにロースペックすぎるマシンでした(笑)。
さらにちょうどその頃、Blenderに大きなバージョンアップがあったのですが、使用していたノートPCが古すぎて最新バージョンに対応していなかったんです。仕方なく古いバージョンで始めたのですが、チュートリアル動画を見ても操作方法が微妙に違っていたりして、最初は何かと苦労しましたね。
だから1週間ほどCG制作を試みたのですが、マシンの問題もあって「こりゃ無理だ」と思い、一度Blenderに触らなくなっちゃったんです。
でもYouTubeでチュートリアル動画を見ていると、サジェスト機能で似たジャンルの動画がどんどん流れてきたんです。それをなんとなく見ているうちに「もう1回、もう1回だけやってみようかな……」と思ってまた始めて、今に至るといった感じです。CG制作を開始して1年後ぐらいに初めてお仕事をいただき、2022年の春以降は途切れることなく、様々なお仕事をいただいています。
ひとつまみのリアリティーと、ライティングを大切に
僕が作るCGは、アニメ調というよりは写実的でフォトリアルなものが多いのですが、その機械が現実では絶対にありえないものであったとしても、“それっぽく感じられるようにする”ということを重視しています。
例えば「反重力装置」みたいなものを作るとしたら、実際には今の科学ではそんな装置は作れないんです。それでも室外機や配管などを付けて、少しリアリティーを持たせるというか、「実際にはないんだけど、ありそうかも」と思えるようにしていますね。
あとは環境光、つまりはライトの置き方など「ライティング」にはかなり気を使っています。CGって、例えばただの四角い箱でさえも、光の当て方と構図次第ですごくカッコよく見えたりするんですよね。絵画などと同じなのですが、できる限り“現実の光”と同じ当たり方になるよう心掛けています。あとは実写映画における照明の当て方や構図を勉強して、それを参考にすることも多いですね。
ただただ没頭し続けた結果としての、“想定外”な人生
作品を見てくださる人が、”なんとなく想定している”ハードルの上を行く作品を作れたらいいな、と常日頃から考えています。しかし作品作りにおいては、“大衆に寄せていく”といったことはあまり考えていません。「こういう風にしたらバズるだろうな」みたいなことも。
僕が作っているものは、比較的バズりやすいジャンルと内容であると思いますが、それは僕が狙ってやっていることではないんです。ただただカッコいいロボットやスポーツカーなどを自分で作ってみたい、そしてそれを“自分のイメージ通りに動かしてみたい”という想いだけで、ほぼ独学でやってきました。自分がやりたいことにただただ没頭して、ただただ追求していたら、気がついたら“想定外の人生”になっていた、というのが正直なところです。
CG制作工程
工程1:リファレンス収集
作りたいものが何か、がある程度決まったら似たようなジャンルの映画を観たり、画像検索アプリの「Pinterest」などで、自分が作りたいものと近しい画像をたくさん見てインプットします。それによって、自分が“作りたいもの像”を明確にするんです。この工程には結構な時間を掛けますね。
工程2:モデリング
“作りたいもの像”が明確になったらモデリング作業を行います。3D空間内に立体物を計算して形成する作業のことですね。キャラクター、背景、質感などを的確に把握し、リアルな表現力が求められたりします。モデリングについては“整合性が取れるように”ということ以外は正直あまり考えていなくて、マシンや人の成り立ちを意識することが大切だと思います。
工程3:仕上げ作業(ライティング/レンダリング/コンポジット)
最後に複数の作業を行ったりきたりして、仕上げ的な作業を行います。主に光の当て方を調整する「ライティング」や3次元のCG空間の物体を2次元の画像に落とし込む「レンダリング」、各CG素材のパーツを映像と合成する「コンポジット」などがあります。ここには特に時間と労力を掛けます。
なかでも特に「ライティング」にこだわっています。仮にハリウッド映画並みのモデリングとアニメーションがあったとしても、光の当て方や構図が今ひとつだと、どうしても陳腐なものに見えてしまうんですよね。ここについてはモデリングと違って“絶対的な正解”はないし、逆に“絶対間違っている”というものもないので、かなりの時間を掛けて、「どうすれば一番カッコよく見えるか?」を追求しています。
完成作品「TAKE OFF」
「PARTNER」というキーワードのもと、今回作ってみたのが「TAKE OFF」という短い3DCGムービーです。
ホバーバイクに乗っている男性は人間で、彼にホバーバイクの燃料源のようなものを渡しているのがロボットです。しかし最初のカットで、ロボットが燃料源を無造作に放る様や、それを受け取った男性のかすかな微笑などを入れることで、二人の気を遣わない間柄、仕事仲間のような関係性を表現しています。この描写により、「あぁ、彼らは種の垣根を越えた“パートナー”なんだな」と感じていただけるのではないかと思っています。
テクニカルな面では、ホバーバイクの機械部分と背景の地面、建物にはかなりこだわっており、光の反射や色の調整などで汚れや錆付きを表現しています。また背景にも植物や細かな瓦礫などを配置して、極力リアルな環境を構築できるようにしました。
レンダリングの待ち時間は半分以下に。とにかく快適です!
結論から言うと、今回DAIVを使ってみてめちゃくちゃ快適でした。CG制作で一番時間が掛かる工程はレンダリング(3D空間に作成したオブジェクトやエフェクトなどの情報を計算して、2Dの画像に変換する工程)で、特に光の計算には時間が掛かります。
今回の作品制作で言えば、1枚のレンダリングに4分ほど掛かっていました。例えば10秒間のアニメーションを作る際には240枚の画像を出力するのですが、それらをレンダリングするとしたら960分、つまり13時間ほどの時間を要します。 僕が現在CG制作に使っているPCも決してロースペックではなく、むしろハイスペックといえるものだとしてもです。
それでもDAIVを使ってみると、それまで掛かっていた時間が半分に、いや半分以下になるイメージです。待ち時間が減る分を他の作業に充てられますので、これはめちゃめちゃありがたいですね。
あとはグラフィックボードのメモリが24GBとかなり余裕があるため、複雑で大量なテクスチャを読み込む際にも、メモリがオーバーフローして処理速度が落ちることがありません。この読み込みの速さは本当に「想定外」と言っていいでしょうし、DAIVは、この企画のテーマ通り「PARTNER」にしたいPCですね。
Yuma
CGクリエイター
現役高校生CGクリエイター。4年ほど前からBlenderで3DCGを制作。サイバーパンクや車の登場する映像を中心にアーティスト活動を行う。『恐竜の化石が流れ着いている砂浜』さらに『山岳地帯の中を徘徊する四足歩行型ロボット』などが話題に。次世代の注目アーティストの一人。
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