FOR NEXT CREATORS
クリエイターとしての
生存競争は
技術力だけでは
勝ち抜けない
クロカワリュートさん
フォトグラファー / アートディレクター
里咲りささん
シンガーソングライター
シンガーソングライターとして活動5周年を迎えた里咲りささんが、2019年12月20日にフルアルバム「スパーク」をリリース。そのアルバムジャケットのデザインを、フォトグラファーのクロカワリュートさんが手掛けました。クロカワさんは、カラフルな背景をベースとしたPOPな写真で、SNSを中心に話題となっています。
今回はお二人に、アルバムジャケットの制作に関わるお話と、クリエイターとして活動するために意識していることや考えていることについて伺いました。
また、打ち合わせから実際の撮影、デザインまでの過程を撮影したメイキングムービーも合わせてお届けします。
アルバムジャケット制作メイキングムービー
自分の手を動かす仕事、現場への回帰。
――まず最初に、クロカワさんの経歴について伺えますでしょうか。クロカワさんはフリーランスのフォトグラファーとして活動される以前、どのようなことをされていましたか?
クロカワ:元々は、ジュエリーを作る職人を目指していました。学生の頃はそのために専門学校にも通っていて。実際にそれを仕事にすることはできたのですが、その仕事だけで食べていくのがなかなか難しい世界だったんですよね。事情が重なりやむを得ず転職を考えていたときに、友人から「WEB業界なら食べていける」ということを聞いてプログラマーになりました。その後、友人と会社を立ち上げたのですが、人数も少なかったのでディレクターやフォトグラファーの業務も自分で行うようになっていったんです。
カメラはジュエリーを作っている頃に買いました。自分で作ったジュエリーを写真に収めたくて。撮った写真を褒めてもらう機会が多かったこともあって、ずっと趣味として続けていたんですよね。
今年の5月まで働いていた広告代理店では、ディレクターやプロデューサーとして仕事をこなしつつ、個人でフォトグラファーの仕事を受けることも増えてきて。後者の割合が多くなってきたタイミングで、フリーランスとして活動していくことに決めました。
ジュエリー作りもプログラミングもそうですが、やっぱり現場で自分の手を動かすことが好きなんだと思います。
一度加えた要素を削ぎ落とし、作品として洗練させる。
――ここからは、里咲さんも含めてお二人にお話を伺わせていただきます。里咲さんは今回どうしてクロカワさんにジャケットデザインを依頼しようと思ったのですか?
里咲:私は曲やアルバムを作るときに色をイメージすることがよくあるのですが、これまでそれをビジュアルで表現したことはなかったんです。それを今回はやってみたいなと思って、色の使い方が特徴的なクロカワさんに依頼することにしました。
実際にお会いしてみて、クロカワさんはストーリーを汲み取ってくれる方だと思いました。私のこれまでの活動や、私がこれから向かおうとしている方向などを踏まえたうえでデザインを提案してくれたというか。だからこそ、クロカワさんの写真には微妙なニュアンスが表れているのかなと思っています。
クロカワ:そう言ってもらえると嬉しいです。普段から写真の方向性やデザインは、依頼してくださる方の考えを自分なりに解釈したうえで提案するように心がけています。
今回、里咲さんのなかでカラーはイエローにするということは決まっていたんですよね?
里咲:そうですね。今回のアルバム「スパーク」は、新しく買ったクラシックギターを使ってレコーディングしている作品で、これまでより柔らかくて暖かいイメージで作っていて。そのイメージを色で表現するとイエローだなと。
クロカワ:最初にカラーの希望を伺ってから、アルバムのコンセプトや里咲さんの考えていることなどを詳しくヒヤリングして、どういうレイアウトやデザインにするかをすり合わせていきました。
里咲:聴いた人をフラットで穏やかな気持にさせたいというアルバムのコンセプトや、クラシックギターに持ち替えて新たな方向に向かう里咲についてなど、思っていることは全部お伝えしました。
最初は少し凝ったデザインにする方向でも話していたのですが、私の今のスタンスやアルバムのコンセプトを考えると、シンプルなほうが良いのではとご提案いただいて。
クロカワ:かなり悩みましたが、伺ったお話を踏まえて最終的にシンプルなデザインでご提案しました。僕はまず色んな要素を加えていって、最終的に削ぎ落としていくという手法をよく取るんですけど、今回は特にそれが顕著に表れた提案になったかなと思っています。
里咲:納得感がありましたし、結果的に今の私にピッタリのジャケットに仕上がったと思います。
「クリエイター向けPC」であることを確かに実感した
里咲:事前に絵コンテを共有してもらっていたこともあって、撮影はすごくスムーズに進みましたね。
クロカワ:やっぱり明確な目標があると全員が迷いなくベストを尽くせると思うので、基本的に絵コンテは用意するようにしています。
もちろん現場で撮影してみないとわからないことや偶然生じる出来事などもありますが、それらは万全の準備をしたうえで楽しめればいいなと。人事を尽くして天命を待つみたいな感覚ですかね。
里咲:確かに撮影してみないとわからないことはありますよね。微妙なライティングとかスタジオとの相性もありますし。撮影する前はいつもドキドキしてるんですけど、今回はテスト撮影で撮った写真を見たときに「あ、大丈夫だ!」って思いました。
クロカワ:よかったです。ホッとしてます。
撮影中も撮った写真をPCのプレビューで確認していただいてたんですが、プレビューの表示速度が速くて、それも撮影がスムーズに進んだ一つの要因だと思いますね。というのも、僕の使っているカメラはフルサイズの一眼レフよりセンサーが大きくて、保存するデータもかなり重いんです。画素数が5000万くらいあって。でも、今回使用させていただいたDAIVのノートPCは全く滞りなくプレビューを表示させてくれて驚きました。
高負荷に耐えてくれて、処理速度も速いということで、確かにクリエイター向けに作られたPCなんだなと実感しました。
里咲:写真をセレクトするときの表示スピードも速かったです。セレクトってそれだけで結構時間がかかってしまうので、なかなか表示されなかったりすると結構なストレスになるんですよね。
レタッチやデザイン作業のときはどうでしたか?
クロカワ:扱う写真のデータが重い分、普段レタッチやデザイン作業を行うときにもラグを感じることはありますね。聞かれてから思いましたが、今回は全く気にならなかったですね。何も違和感がなかったというのは、滞りなく作業ができた証拠かなと思います。
自分が好きなものと世の中の需要、その交点を探し続ける。
里咲:スペックの高いPCやソフトが安く手に入るようになって、クリエイターもどんどん増えてきていますよね。今は誰でも簡単にものづくりをはじめられる時代なので、そのなかで独自性を見つけていかないといけないなと思っているところです。
クロカワ:そのために意識していることって何かありますか?
里咲:いろんな人と会ったり、たくさん本を読んだりしてインプットを増やすようにしてます。AIって読み込ませる情報を増やせば増やすほど正確な答えを出せるようになるじゃないですか。そんなふうになりたいなと思って。独自性を表現するための最適解を出せるように、インプットを増やすことを意識してますね。
クロカワ:独自性は必要ですよね。僕も差別化はかなり意識してますね。撮ろうと思えばだいたいのものは撮影できるんですけど、なんでも撮れますと言っても印象に残らないと思っていて。だからSNSに投稿する写真は、カラフルな背景に人や物が写っている写真に絞っているんです。こういう写真を撮りたければクロカワに依頼すればいいというのがわかりやすいと思いますし。
里咲:カラフルな背景をベースにしようと思ったのはどうしてですか?
クロカワ:まずは、単純に色が与える印象っていうのが強いので、コンマ何秒で過ぎていくタイムライン上で目を引くことができる。あと、次の流行を色々探ってたときに、海外の広告でカラフルな背景を使ったものが増えてきている印象があって。この流行は日本にも巡ってくるだろうと思ったんですよね。それで投稿し始めたのが一年前くらい。
里咲:なるほど。
クロカワ:ただ、差別化をはかりながら世の中の需要にあったものを見つけても、自分が好きだと思えなければ続けていけないですよね。一番幸せなのは、自分が好きなものと世の中の需要がマッチしていること。二つが交わる点を探してチャレンジし続けることが、フリーランスとして活動する上で重要なことなのかなと思っています。
フリーランスとはいえ、一人で生きていくことはできない。
クロカワ:里咲さんは会社を立ち上げて社長として活動されてますよね? 個人と会社としての活動にはどういう違いがあると思いますか?
里咲:私は約4年間個人事業として営業してきて、昨年法人化しました。法人化するメリットは組織力や社会的信用などですが、動かせる資本の大きさが一番の違いですかね。私の場合はトップダウン経営な上に、「里咲りさ」への信用でお仕事をさせていただいてきたので、組織力や信用はそこまで変わらないですが、動かせる金額の差は明確に感じています。
クロカワさんはどう思っていますか?
クロカワ:会社は長期戦を戦うための組織なのかなと思っています。一方で、フリーランスはフリーランスで、一人で仕事をしているわけじゃなくて。今回のようにアシスタントさんやヘアメイクさん、スタイリストさんとともに撮影をしていて、結局チームなんですよね。一つの撮影を成功させるために組まれた短期戦のチーム。
会社で活動するかフリーランスで活動するかは、どちらのほうが向いているか次第かなと。僕は短期戦のほうが向いてると思ったので、フリーランスとして活動していくことを選びました。
里咲:私も自社を軸に活動してはいますが、外部のスタジオエンジニアさんや編曲家さんとチームで音楽活動をしているという意識のほうが強いので、感覚は似てるかもしれないです。それぞれの役割を担いながら、一つの曲やアルバムを作っていくっていう。
クロカワ:個人的には、フリーランスの集まりが一番フレキシブルに動けるチームなのかなと思っていますね。
技術力だけでは生き残れない時代へ
クロカワ:今後、技術力だけでは生き残っていけないんじゃないかなと思っていて。というのも、カメラやパソコンを手に入れるハードルが今はかなり低いじゃないですか。で、シャッターを押せば撮れてしまうし、少し操作を覚えれば写真の編集もできてしまう。そうなってくると、やっぱり思考力だったり企画力だったり頭を使えるかどうかが重要になってくるだろうなと。
技術力はキャリアで差がつくこともあると思いますが、発想力のように頭を使う部分だと年齢の差も関係なくなって、どんどん若くて素晴らしい方が活躍していくんじゃないかなと思いますし。逆に、僕のようなオールドルーキーも増えていくかもしれません。
里咲:クロカワさんがおっしゃったように、今はツールが溢れていますし、クリエイターと呼ばれる方は今後もっと増えていくと思いますね。アイドルやアーティストもそうだと思うんですけど、ある程度まで増えたところで淘汰されていくんじゃないかなと感じていて。そのなかで生き残るためにはどうすればいいかっていうことを考え続けないといけないなと思っています。
クロカワ:逆に、ツールがあるからこそ言い訳ができないんですよね。ツールをどう使って何を作っていくか、PCやソフトに問われてる感じですね。怖いなと思う反面、いい時代だなと思います。
完成したアルバムジャケット
里咲りさ×DAIV
ORICON NEWSスペシャルインタビュー
最新アルバム「スパーク」にかけた想いやDAIVノートPCについてより深くお話を伺いました。
里咲りさ
シンガーソングライター
1992年9月25日生まれ、群馬県出身のシンガー・ソングライター。HAWHA MUSIC RECORDSの社長も務める。歌手、舞台・女優活動などを経て、2014年アイドル・グループ“少女閣下のインターナショナル”を旗揚げし運営兼メンバーとして活動。グループ活動休止後はソロ活動に専念する。2017年のZepp DiverCity TOKYO公演を成功させた後、活動休止。2018年8月に音楽活動再開を発表し、2019年にはコンスタントに楽曲をリリース。2019年12月20日には、フルアルバム「スパーク」がリリースとなる。
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