映像制作
キャラクターCG
Lethe
新世代CGクリエイターたちの
コラボが織りなす
キャラクタービジュアル表現。
ZONeエナジー公式アンバサダー「ぞん子」のプロモーションビデオ制作の裏側インタビュー
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Lethe
ZONeエナジー公式アンバサダー「ぞん子」のプロモーションビデオ制作の裏側インタビュー
ZONeエナジー公式アンバサダー「ぞん子」の3Dモデルを無料配布する「ぞん子3D配布 オープンソースプロジェクト」が12月5日より始動。それに伴い、ぞん子3Dモデルの活用事例として、UNDEFINEDとLetheがタッグを組んだ映像作品が公開された。今回、その映像がどういったプロセスで構築されていったのかをインタビューした。
SNS を通じて活躍する若手CG クリエイターが集まって出来たクリエイティブチーム、UNDEFINED。主にMV、CM、シネマライクなVFX 映像制作業務を専門にしている。全員が全工程の知識を持ち合わせた上で、個々の得意とする技術を結集することにより、ハイクオリティーな映像制作を可能にしている。
全員がアーティストとして作品に関わり、個人の得意な作風をチーム全体に反映することで、幅広い分野に特化した作品を" 創り出す" ことが出来る。
大学入学後に初めて自分のPCを購入し、趣味として映像制作を開始。活動を進めていくうち、Cinema 4Dでキャラクターを扱う研究をし始め、仕事を受けるようになる。キャラクターの更なる表現を模索するなかでHoudiniと出会い、その勉強とフリーランスを両立するために大学を自主退学する。現在もHoudiniを勉強しながら、主にキャラクターを中心としたテクニカルアーティストとして活動中。
昨今はSNSでのショート動画の流行により、CG映像にも短尺で面白い要素を作ることがキーポイントになると考えていました。
そんな時に本企画のお声かけを頂きまして、実験的に挑戦ができるのではと思い、これまでUNDEFINEDがやってこなかった“カッコイイ、だけどユーモアのある作品”を制作してみました。
前回、ZONe QUICK BOOSTのCM映像を制作した経緯もあり、それらの世界観をベースに今回の映像は制作しています。
ルックとしては、3DCGのシネマライクな世界観で作り上げつつ、内容は「ぞん子が買おうとした自販機が実はトラップで、突然流れてきた大量の缶に追いかけられる」といったコミカルなストーリーに落とし込みました。
〈技術的な視点〉
今回のもう一つのテーマとして考えていたのが“セルルックのキャラクターをフォトリアル調に落とし込む”というコンセプトです。
ぞん子のキャラクターモデルを頂いた時点ではセルルックに最適化されたセットアップになっており、そのままではシネマライクな世界観に合わせることができませんでした。
そこで、テクスチャを描き直してディテールを追加したり、肌のマテリアルにSSSを設定することで、フォトリアルなライティングをした際により人間味がある肌質になるよう調節しています。
こうした試行錯誤を重ねて、接写でも耐えられるようなキャラクターのシェーディングを調整していきました。
〈クリエイティブな視点〉
構図とカメラワークにもこだわりました。
ユーモアの要素を加えるということは、一歩間違えればチープな見え方になってしまう危険性もあります。
だからこそしっかりと基本を押さえた構図の作り方をしながら、緊迫感や全体の演出を拡張していきました。
更にそこにフィッシュアイ効果や大胆なカメラアクションといったユーモアのある要素を足していきました。そこは3DCGだからこそできることですね。普段は試せない面白い構図やワークを探ることができて楽しかったです。
今回トラップとして大量の缶の3Dモデルをトンネル内に流す必要があり、この処理が一番大変でした。
缶の放出を奥から始めてしまうと手前に到達するまでに大量の缶を出す必要があります、これはシミュレーション上かなり負荷のかかる作業です。
そこで軽量化のために行ったのが、トンネル全体ではなく手前にのみに缶を配置し、それらを後ろからコリジョン設定したオブジェクトで押し出すという方法です。
これによってシミュレーションが必要な缶の個数を大幅に減らすことができました。
〈クリエイティブな視点〉
また、缶のコリジョン設定にも工夫をしています。
缶のモデルは形状が複雑なので、シリンダーでコリジョンを作ります。
それをシミュレーションして、更にキャッシュをとる際に、シミュレーションデータをポイントデータとして変換してキャッシュを作成しました。
こうすることで、複雑な形状の缶のオブジェクトをポイント上にインスタンスで配置することができ、キャッシュデータの削減やレンダリング時にも計算を軽くすることができました。
Letheさんとお仕事でご一緒したのは今回が初めてでしたが、こちらのアニメーションやワークフローの要望にも応えて頂いて本当に助かりました。
一番感動したのは、Houdiniを使用したキャラクターのシミュレーションのワークフローを取り入れることによって、ボーンの入っていないジャケットや太ももなどの細かな揺れまでもシミュレーションされていたところです。
このお陰でよりフォトリアルに品質が上がり、ユーモア要素とのコントラストを作ることができ面白い作品に仕上がったと思います!
Lethe
大まかには、キャラクターまわり全般を担当させて頂きました。あらかじめHoudini内でキャラクターシステムを構築しており、それを用いてぞん子さんのキャラクターモデルのセットアップを行いました。
このシステムは、初期工程、Bodyシム工程、Hairシム工程、最終工程に分かれており、すべてセットアップすることでワンクリックでモーションリターゲットからシミュレーション、Alembicアウトプットまでできるようになっています。今回の制作でもこのシステムが非常に役立ちました。
ぞん子モデルは、メッシュやテクスチャのバリエーションが豊富に用意されていることで、アーティスト側はその中から選んで使用できるようになり、その点でこのモデルは非常に良くできていると感じました。
またシミュレーションする側として苦労したのが、ぞん子さんの髪シミュレーションです。シルエットやテクスチャから見て、なんとなく固そうに見え、ただ固くシミュレーションするだけだと面白味のない揺れになってしまうので、硬さを出しながらも魅力的な揺れにするために試行錯誤しました。最終的な結果としてはとても満足しています。
個人的には、Houdiniによってキャラクターシミュレーションを深いところまで突き詰められることが魅力だと思います。従来のキャラクターは基本的にボーンデフォームによってモーションしていますが、Houdiniではもっと細かくプロシージャルに管理できるので、より一層クオリティを上げることが可能になりました。
また、それに関連して自動化も非常に興味深いです。キャラクターシミュレーションという特性上、往々にして繰り返し作業が増えてしまいがちですが、自動化を進めることによって余計な作業を減らし、ストレスフリーに制作に集中できるようになりました。ただ、まだまだ研究の余地があり、今回使用したキャラクターシステムも日々常に更新し続けています。
私の場合クリエイターさんと共同作業させていただくことが多く、UNDEFINDさんとの今回のお仕事についても特に問題なく進んでよかったです。
今回、UNDEFINDさんがCinema 4Dを用いるということで、最終的なキャラクターの受け渡しはCinema 4Dファイルで行うことになりました。このやり方によってトラブルを少なく済ますことができたと思います。
【参考スペック】
OS:Windows 10 Home 64ビット
CPU:インテル® Core™ i9-12900 プロセッサー
メモリ:64GB
M.2 SSD:1TB
グラフィックス:GeForce RTX™ 3070
電源:700W
※代表的な構成の一例です。
※当ページの掲載内容および価格は、在庫などの都合により予告なく変更、または終了となる場合があります。
今回ソフトウェアはCinema 4DとOctaneRenderをメインで使用しました。
特にOctaneRenderはGPUベースのレンダラーのため、レンダリング時にVRAMを消費してしまいます。
RTX A6000などVRAMの容量が多いグラフィックカードを使用できると快適に作業が可能だと思います。
また、解像度があって画面の広いモニターがあるとソフトのワークスペースにショートカット等を広く配置できるのでより一層作業効率を上げられてオススメです!
Houdiniではプロシージャルによる大規模モデリングや高コストのシミュレーションをする場面が比較的多く、求められるPCスペックとしては、CPU性能やメモリ性能があればあるほど良いです。
また、Houdini作業時ではマウス操作やパラメータ入力を繰り返すので、私の場合ではマウスを右手にテンキーを左手に置くことで効率化しています。こういった工夫でも作業の効率化を図れるのでおススメです。
※ 構成は最新のものです。制作で使用された構成と異なる可能性がございます。
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©ZONe
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※ 写真はイメージです。キーボード・マウス・外観などは写真と異なる場合があります。