Stable Diffusionは、テキストから高品質な画像を自動生成できるAIです。たとえば、キャラクターデザインやイメージ画像の作成など、さまざまな場面で活躍します。
しかし、Stable Diffusionは高度な画像処理を行うため、グラフィックス(GPU)やメモリなど高性能なパーツを備えたパソコンでないと、スムーズに動作しない場合があります。利用目的や必要なスペックを明確にし、適切な環境を構築することが大切です。
この記事では、Stable Diffusionの基本から活用法、必要なパソコンのスペックまで詳しく解説します。
※ 製品の情報や価格は2025年4月7日時点の情報となります。
- Stable Diffusionとは?
- Stable Diffusionを使う方法は3種類
- Stable Diffusionの活用方法
- Stable Diffusionの導入に必要なパソコンのスペック
- Stable Diffusionでプロンプトを入力するときのコツ
- Stable Diffusionの導入におすすめ!マウスコンピューターのパソコン3選
- まとめ:Stable Diffusionは趣味・ビジネスに幅広く使える画像生成AI
Stable Diffusionとは?
まずは、Stable Diffusionの概要や仕組み、他の生成AIとの違いや使用料金について解説します。
Stable Diffusionとは「画像生成AI」のこと
Stable Diffusionは、AIが学習した大量の画像データをもとに、ユーザーが入力したテキストに沿って高品質な画像を生成するAIモデルです。
潜在拡散モデル(Latent Diffusion Model)という技術を利用しており、ノイズから画像を生成できるため完全に新しい画像を作成できます。
たとえば、「cat riding a spaceship, outer space background, detailed, colorful(猫が宇宙船に乗っている画像をつくるプロンプトの例)」と入力すると、短時間で希望に近い画像ができあがります。
また、リアルな描写やアニメ調の描写など多様な表現ができるため、イラスト制作やデザインなど幅広い分野で活用できるのも魅力です。
Stable Diffusionの仕組み
Stable Diffusionは、前述したとおり潜在拡散モデルという技術を使って画像を生成しています。
AIがまずランダムなノイズ画像をつくり、そこから少しずつノイズを取り除くことで、リアルな画像にしていきます。
具体的には、最初は砂嵐のようなノイズの中から、だんだんと人物や背景が浮かび上がるように生成するイメージです。
このとき、AIが過去に学習した大量の画像データをもとに形や色を補完し、リアルで自然な画像がつくられます。
どのような画像になるかは、「プロンプト」と呼ばれる指示文に左右されます。プロンプトが具体的であれば、よりイメージに近い画像が生成できるでしょう。
また、学習したデータ量も完成度に影響します。
2024年10月にリリースされた「Stable Diffusion 3.5」
2024年10月に、最新バージョンである「Stable Diffusion 3.5」がリリースされました。このバージョンでは、次のような進化が見られます。
多様なモデルの提供:Medium(25億パラメータ)、Large(80億パラメータ)、Large Turbo(Largeモデルを蒸留して少ないステップで動作するモデル)の3つのモデルが提供されている
カスタマイズ性の向上:ユーザーのニーズに合わせて、より柔軟な画像生成ができるようになった
プロンプトへの忠実性:入力されたプロンプトに対する画像生成の精度が向上し、ユーザーの意図をより正確に反映した画像が得られるようになった
多様なスタイルへの対応:3Dや絵画、写真、線画など幅広いスタイルに対応している
上記のように性能が向上しており、より高品質で多様な画像が生成できるようになりました。
他の画像生成AIとの違い
Stable Diffusionは、オープンソースで提供されているカスタマイズ性の高い生成AIです。
ユーザーは、目的に応じてモデルを自由に調整できます。同じ画像生成AIにあたるMidjourneyやDALL-Eと比較すると、次のような違いがあります。
生成AIの種類 |
Stable Diffusionとの違い |
Stable Diffusion |
・自分のパソコンに環境構築したり、クラウドサービスを利用したりできる ・生成する画像の傾向を自分の好みにカスタマイズできる ・UIは複雑だがカスタム項目が多い ・無料でも利用できる |
Midjourney |
・ブラウザでサービスを利用できる ・アート的な画像を生成しやすい傾向にある ・UIが直感的で操作しやすい ・月額料金がかかる |
DELL-E |
・DELL-EはChatGTPに統合されているサービス ・テキストの理解力に優れ、解像度が高い画像を生成しやすい傾向にある ・ChatGPTに慣れていれば自然に使用できる ・無料版は商用利用できない |
Stable Diffusionの使用料金
Stable Diffusionはオープンソースなので、基本的に無料で利用できます。
ただし、ローカル環境で高速処理をするためには、強力なグラフィックス(GPU)が必要です。そのため、ハードウェアを揃える際に費用がかかるでしょう。
たとえば、高性能なグラフィックス(GPU)を搭載したパソコンは20万円以上することが多いです。
Stable Diffusionを使ったオンラインサービスや、クラウドサービスも提供されています。これらのサービスには、無料版と有料版が用意されていることがあります。
無料版でも基本的な画像生成はできますが、利用制限があったり使用できるモデルや機能性が劣る場合があるため、自分の目的に合うか確認が必要です。
Stable Diffusionを使う方法は3種類
Stable Diffusionを利用する方法は、大きく分けて3つあります。それぞれ費用や導入難易度、特徴が異なるため、利用目的に応じた選び方が重要です。
詳しくは、下の比較表をご確認ください。
利用方法 |
費用 |
環境構築の難易度 |
メリット・デメリット |
オンラインサービスでの利用 |
無料・有料プランあり |
簡単 |
【メリット】 ・環境構築が不要で、Webブラウザからすぐに使える ・ハイスペックなパソコンが必要ない ・初めてでも操作が簡単 【デメリット】 ・無料プランでは1日の利用回数に制限がある場合がある ・高画質な画像の生成には追加料金がかかることがある ・カスタマイズや細かい調整はできない |
ローカル環境での利用 |
高性能グラフィックス(GPU)などのハードウェア購入費用 |
高い (PythonやGitの知識、モデルの用意が必要) |
【メリット】 ・完全無料で制限なく使える ・自分の好みに合わせたカスタマイズができる ・プライバシー面で安心できる 【デメリット】 ・高性能なグラフィックス(GPU)や大容量メモリが必要 ・導入までに専門的な知識や技術が必要 |
クラウドサービスでの利用(Google Corab) |
無料・有料プランあり |
中程度 (Pythonの知識やGoogle Corabの操作など) |
【メリット】 ・パソコンのスペックが低くても利用できる ・ローカル環境を構築しなくてもよい 【デメリット】 ・オンラインサービスに比べて準備が面倒 ・より自由に使いたい場合は有料プランの利用が必要 ・クラウド側のサービス停止や障害の影響を受ける恐れがある |
Stable Diffusionの活用方法
Stable Diffusionは、個人・企業を問わずさまざまな場面で活用されています。
たとえば、オリジナルのロゴデザインやWebサイト用のイメージ画像を作成する場合に便利です。画像のダウンロードサイトなどで検索せずに済むため、作業の効率化にもつながります。
また、インテリアや建築分野では、イメージを具体化する際に利用されています。さらに、ファッションのデザイン案やポスター制作、商品パッケージの試作など、アイデアを可視化する用途でも役立つでしょう。
こうした活用によって、プロのデザイナーだけでなく一般の方も手軽に創作活動を行えるようになりました。
自分だけのオリジナルキャラクターをつくりたい方や、プレゼン資料に使う独自の図解を作成したい場合にも便利です。
Stable Diffusionで作った画像は商用利用してよい?
Stable Diffusionで作った画像は、基本的に商用利用が可能です。Stable DiffusionのモデルはStability AI Community Licenseに基づき提供されています。このライセンスには、次のように記載されています。
「Stability AI の新しいコミュニティライセンスは、研究、非商用、商用利用のために無料となります。年間収益が100万米ドルを超え、Stability AI モデルを商用製品やサービスで使用する場合にのみ、有料のエンタープライズライセンスが必要です。」
上記の内容は、個人利用や小規模事業者は無料で商用利用できることを示しています。
ただし、商用利用する場合はStability AIに対する自己報告が必要です。
商用利用できないケース
Stable Diffusionの画像は基本的に商用利用できますが、場合によっては規約違反になる恐れがあります。
具体的には、商用利用が認められていないモデルを使った場合や、そのようなモデルを追加学習させた場合(LoRAなど)は、商用利用が認められないため注意が必要です。
また、著作権や肖像権を持つ画像を学習させた場合も商用利用は認められません。
さらに、参考画像を読み込ませて画像を生成するimg2img機能を使い、著作権がある画像を基に生成した場合も同様です。
商用利用を行うときは、利用するモデルや素材が商用利用できるかどうかを事前に確認しましょう。
Stable Diffusionの導入に必要なパソコンのスペック
Stable Diffusionをローカル環境で快適に動作させるには、ハイスペックなパソコンが必要です。
特に、画像処理を効率的に行うためには高性能なグラフィックス(GPU)が求められます。
Stable Diffusionを利用するパソコンの推奨スペックは、次のとおりです。
パーツ |
推奨スペック |
OS |
Windows 11 64bit |
CPU |
新しい世代のIntel® Core™ i7/AMD Ryzen™ 7以上 |
グラフィックス(GPU) |
NVIDIA® RTX™ シリーズ(VRAM 12GB以上) |
メモリ |
16~32GB |
ストレージ |
SSD 500GB以上 |
このスペックを満たすことで、Stable Diffusionの機能を十分に活用できます。
Stable Diffusionでプロンプトを入力するときのコツ
Stable Diffusionで高品質な画像を生成するためには、プロンプトの入力方法を工夫する必要があります。詳しいプロンプトのコツは、次のとおりです。
・優先度の高い内容から入力する
プロンプト内の単語は先に記載するほど重視される
・単語間をカンマで区切る
単語同士をカンマで区切ると、指示が明確になりAIが理解しやすくなる
・単語数は75個以内に抑える
プロンプト内の単語数を75個以内にすることで、AIが適切に解釈しやすくなる
・強調したい単語は括弧やコロンで指定する
特定の単語を強調する際は、「()」でくくり、コロン「:」の後ろに数字を指定すると強調度を設定できる。高さを強調する例「height:1.5」
・ネガティブプロンプトを活用する
品質や生成してほしくないものを指定することを「ネガティブプロンプト」と呼ぶ。テキストを除外する例 「text」
・目的に合ったモデルやLoRAモデルを選ぶ
生成したい画像のスタイルに適したモデルやLoRAモデルを選択することで、理想に近い結果を得られる
これらの工夫を取り入れることで、より理想に近い画像を生成できます。
Stable Diffusionの導入におすすめ!マウスコンピューターのパソコン3選
マウスコンピューターは、CPUやグラフィックス(GPU)などをカスタマイズできるBTO(Build To Order)パソコンを販売しています。
ここからは、Stable Diffusionをローカルで利用できるスペックを持つパソコンをご紹介します。
※ 製品の情報や価格は2025年4月7日時点の情報となります。
1.高度な画像処理に対応する「DAIV FX-I7A7X」
OS | Windows 11 Home 64ビット |
CPU | インテル® Core™ i7 プロセッサー 14700KF |
グラフィックス | AMD Radeon™ RX 7700 XT |
メモリ標準容量 | 32GB (16GB×2 / デュアルチャネル) |
M.2 SSD | 1TB (NVMe Gen4×4) |
通常価格 (税込) |
319,800円 |
DAIV FX-I7A7X
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DAIV FX-I7A7Xは、Stable Diffusionを快適に動かしたい方におすすめです。2種類のコアを組み合わせたハイブリッド・アーキテクチャーを採用したIntel® Core™ i7 プロセッサー(第14世代)は、高速なシングルスレッド処理とマルチスレッド処理に対応しています。
また、AI処理に強いAMD Radeon™ RX 7700 XTを搭載しており、複雑な画像処理もスムーズです。Stable Diffusionでの高解像度な画像生成も、ストレスなく実行できるでしょう。
2.さまざまなクリエイティブ用途に活用できる「DAIV FX-I7G7S」
OS | Windows 11 Home 64ビット |
CPU | インテル® Core™ i7 プロセッサー 14700KF |
グラフィックス | NVIDIA® GeForce RTX™ 4070 SUPER |
メモリ標準容量 | 32GB (16GB×2 / デュアルチャネル) |
M.2 SSD | 2TB (NVMe Gen4×4) |
通常価格 (税込) |
369,800円 |
DAIV FX-I7G7S
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DAIV FX-I7G7Sは、Stable Diffusionをはじめとした幅広いクリエイティブ作業に対応する高性能パソコンです。7,168のCUDAコアを搭載したNVIDIA® GeForce RTX™ 4070 SUPERを採用しており、素早く画像を生成できます。
さらに、32GBの大容量メモリを備えており、画像生成中にほかのアプリケーションを同時に使っても安定して動作するのもメリットです。
Stable Diffusionでの高品質な画像生成に加え、3DCG制作や動画編集など幅広い場面で活躍するモデルです。
3.AI性能を強化した「DAIV FX-I7G80 (NVIDIA Studio 認定PC)」
OS | Windows 11 Home 64ビット |
CPU | インテル® Core™ Ultra 7 プロセッサー 265K |
グラフィックス | NVIDIA® GeForce RTX™ 5080 |
メモリ標準容量 | 32GB (16GB×2 / デュアルチャネル) |
M.2 SSD | 2TB (NVMe Gen4×4) |
通常価格 (税込) |
539,800円 |
DAIV FX-I7G80 (NVIDIA Studio 認定PC)
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DAIV FX-I7G80 (NVIDIA Studio 認定PC)は、AI性能を強化したCPUやグラフィックス(GPU)を搭載したクリエイター向けのパソコンです。CPUのIntel® Core™ Ultra 7 プロセッサーは、AI処理を行うNPUを搭載しています。
また、グラフィックス(GPU)にも、AIを活用したグラフィックやライティング表現の質を高めるアーキテクチャが採用され、用途を問わず高いパフォーマンスを発揮する製品です。
高負荷の作業に最適なNVIDIA Studio 認定製品となり、プロの業務に活用できる性能を備えています。
まとめ:Stable Diffusionは趣味・ビジネスに幅広く使える画像生成AI
Stable Diffusionは、趣味からビジネスまで幅広く活用できる画像生成AIです。テキストから多彩な画像を生成できるため、個人のイラスト制作や企業で使う素材作成などにも役立ちます。
オンラインサービスやクラウドサービスで利用できることに加え、ローカルで環境を構築してカスタマイズできるのも魅力です。
ただし、ローカル環境で快適に動かすには高性能なグラフィックス(GPU)やメモリが求められるので、パソコンを購入する際はスペックをしっかりと確認しましょう。
マウスコンピューターでは、Stable Diffusionをローカル環境で利用できる性能を備えたパソコンを販売しています。詳しい製品の情報は、下記の公式サイトをチェックしてみてください。
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