ExcelのFILTER(フィルター)関数は、特定の条件に基づいてデータを抽出するための強力なツールです。
大量のデータから必要な情報を効率的に取り出すことができ、データ分析やレポート作成において非常に役立ちます。
この記事では、FILTER関数の基本的な使い方と具体的な例をわかりやすく解説します。
FILTER関数の基本構文
まずはFILTER関数の基本構文を解説します。
=FILTER(配列,条件,[空の場合の値])
それぞれの引数について詳しく見ていきましょう。
配列 (array)
配列は、抽出対象となるデータの範囲を指定します。
例えば、A1からB10までのデータを対象とする場合、A1:B10と指定します。この範囲内のデータから条件に一致するものが抽出されます。
【例】
=FILTER(A1:B10,条件,[空の場合の値])
条件 (include)
条件は、データを抽出するための基準を指定します。 条件は論理式で表され、TRUEまたはFALSEを返します。
例えば、A列の値が「東京」である行を抽出する場合、A1:A10="東京"と指定します。
条件は複数指定することも可能で、その場合は掛け算(*)や足し算(+)を使って組み合わせます。掛け算はAND条件、足し算はOR条件を表します。
AND条件:(条件1) * (条件2)
OR条件:(条件1) + (条件2)
空の場合の値 (if_empty)
空の場合の値は、条件に一致するデータがない場合に返す値を指定します。この引数は省略可能で、省略した場合はエラーが返されます。
例えば、条件に一致するデータがない場合に「データなし」と表示するには、"データなし"と指定します。
【例】
=FILTER(A2:B6,A2:A6="福岡","データなし")
具体例1:特定の条件に基づくデータの抽出
例えば、売上データから特定の地域のデータを抽出する場合を考えます。以下のようなデータがあるとします。
このデータから「東京」の売上データを抽出するには、以下のようにFILTER関数を使用します。
この関数を実行すると、以下のような結果が得られます。この結果は、「地域」列が「東京」と一致する行の「売上」列のデータを抽出したものです。
具体例2:複数条件でのデータ抽出
次に、売上データから特定の地域かつ特定の期間のデータを抽出する場合を考えます。例えば、以下のようなデータがあるとします。
このデータから「東京」かつ「2月」の売上データを抽出するには、以下のようにFILTER関数を使用します。
この関数は、以下のように動作します。
・A2:A6="東京" は、A列の各セルが「東京」であるかどうかをチェックします。条件に一致する場合はTRUE、一致しない場合はFALSEを返します。
・C2:C6="2月" は、C列の各セルが「2月」であるかどうかをチェックします。条件に一致する場合はTRUE、一致しない場合はFALSEを返します。
・(A2:A6="東京") * (C2:C6="2月") は、各行について両方の条件がTRUEである場合にのみTRUEを返します。掛け算の結果、両方の条件がTRUEである行のみが抽出されます。
この関数を実行すると、以下のような結果が得られます。この結果は、「地域」列が「東京」であり、かつ「月」列が「2月」と一致する行のデータを抽出したものです。
FILTER関数の応用
FILTER関数は他の関数と組み合わせることで、より高度なデータ分析や処理が可能になります。以下の売上データを例に、応用例を紹介します。
応用例1:SUM関数との組み合わせ
特定の条件に基づいて抽出したデータの合計を求める場合、SUM関数と組み合わせて使用します。
例えば、「東京」の売上の合計を求める場合、以下のようにします。
この関数は、A列が「東京」である行のB列の値を抽出し、その合計を計算します。
応用例2:AVERAGE関数との組み合わせ
特定の条件に基づいて抽出したデータの平均を求める場合、AVERAGE関数と組み合わせて使用します。
例えば、「大阪」の売上の平均を求める場合、以下のようにします。
この関数は、A列が「大阪」である行のB列の値を抽出し、その平均を計算します。
応用例3:COUNT関数との組み合わせ
特定の条件に基づいて抽出したデータの件数を求める場合、COUNT関数と組み合わせて使用します。
例えば、「名古屋」の売上データの件数を求める場合、以下のようにします。
この関数は、A列が「名古屋」である行のB列の値を抽出し、その件数を計算します。
応用例4:IFERROR関数との組み合わせ
FILTER関数をIFERROR関数と組み合わせることで、条件に応じた動的なデータ抽出が可能になります。
例えば、特定の条件に基づいてデータを抽出し、条件に一致するデータがない場合に「データなし」と表示する場合、以下のようにします。
この関数は、A列が「福岡」である行のB列の値を抽出し、条件に一致するデータがない場合に「データなし」と表示します。
応用例5:複数条件でのSUM関数との組み合わせ
複数条件に基づいてデータを抽出し、その合計を求める場合、SUM関数と組み合わせて使用します。
例えば、「東京」かつ「2月」の売上の合計を求める場合、以下のようにします。
この関数は、A列が「東京」であり、かつC列が「2月」である行のB列の値を抽出し、その合計を計算します。
まとめ
ExcelのFILTER関数は、特定の条件に基づいてデータを抽出するための非常に便利なツールです。
基本的な使い方を理解し、実際の業務で活用することで、データ分析の効率を大幅に向上させることができます。ぜひ、実際に試してみてください。