ゲーミングPCの電源ユニットはどう選ぶ?容量の目安や計算方法を解説

ゲーミングPCの電源ユニットはどう選ぶ?容量の目安や計算方法を解説

 ゲーミングPCを購入またはカスタマイズする際、電源ユニットの選定に悩む方も多いでしょう。電源ユニットには容量や規格の種類があり、適切な製品を選ばないとゲームを快適にプレイできなくなる恐れがあります。

 たとえば、容量が不足すると動作が不安定になったり、パソコンが起動しなかったりすることも考えられます。そのため、必要な電源ユニットの容量や選び方を理解しておくことが大切です。

 この記事では、ゲーミングPCに適した電源ユニットの容量や選び方、注意点について詳しく解説します。

※ 製品の情報や価格は2025年2月14日時点の情報となります。

 

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ゲーミングPCの電源ユニットの役割・重要性

 電源ユニットは、ゲーミングPCの各パーツに安定した電力を供給するための重要なパーツです。適切な電力供給がなければパーツの性能が十分に発揮されず、不安定な動作や故障の原因になるでしょう。

 たとえば、高性能なグラフィックス(GPU)やCPUは多くの電力を必要とし、電力が不足すると画像処理の遅延やフリーズなどが発生する恐れがあります。さらに、電源ユニットの品質が低いと電圧の変動や過電流が生じ、パーツの寿命を縮めることも考えられます。

 ゲーミングPCを安定した状態で使用したい場合、消費電力に対して十分な容量かつ、信頼性の高い電源ユニットを選ぶことが重要です。

 

ゲーミングPCの電源容量の目安が「システム最大消費電力の倍」といわれる理由

 電源ユニットの容量は、大きいほどよいわけではありません。システム最大消費電力の倍がよいとされています。

 ここでは、システム最大消費電力の倍の電源容量が推奨される理由について解説します。

1|電力変換効率がもっともよくなるため

 電源ユニットの電力変換効率とは、入力電力に対する出力電力の割合のことです。変換効率が高いと電力の損失が少なくなり、消費電力の削減や電気代の節約につながります。

 多くの電源ユニットは、負荷が50%のときにもっとも高い変換効率を発揮するよう設計されています。そのため、システムの最大消費電力の約2倍の容量を持つ電源ユニットを選ぶことで、効率的な運用が可能になります。

 たとえば、最大消費電力が400Wのシステムには、800Wの電源ユニットを選択するとよいでしょう。

 

 

2|静音性に優れている

 ゲーミングPCの電源の容量が消費電力の倍であれば、電源ユニットへの過度な負荷を回避できます。負荷が低いと内蔵ファンの回転数が抑えられ、動作音が小さくなります。その結果、静音性が向上して快適なゲーム環境を実現できるでしょう。

 繊細な操作や判断力が求められるゲームでは、集中力が重要です。そのようなタイトルをプレイするゲーマーにとって、静音性は大切な要素といえます。

3|電源ユニットの劣化を防止するため

 電源ユニットを高負荷で運用すると、内部部品に負担がかかり劣化を早める原因になります。消費電力の倍の容量を持つ電源ユニットを選ぶことで負荷を軽減でき、長期間にわたり安定した性能を維持しやすくなるでしょう。

 必要な電力ギリギリの電源ユニットを使用すると、過度に温度が上昇して内部部品の劣化を早める恐れがあります。適切な容量を選択することで電源ユニットの劣化を防止し、寿命を延ばす効果が期待できます。

4|パーツのアップグレードに対応するため

 将来的にグラフィックス(GPU)やCPUなどのパーツをアップグレードする際、電源ユニットの容量に余裕があると対応しやすくなります。

 システムの最大消費電力に対して容量に余裕のない電源ユニットを選ぶと、後のパーツ交換時に電力不足が生じる恐れがあります。電力が足りたとしても、余裕がなく高負荷な状態での運用になってしまうかもしれません。電源ユニットを交換することもできますが、コストがかかります。

 一方、余裕のある容量を選択しておけば、将来のアップグレード時にも対応しやすいでしょう。ゲーミングPCを購入またはカスタマイズする際は、将来の拡張性も考慮して電源ユニットの容量を選ぶことをおすすめします。

ゲーミングPCの電源ユニットを選ぶときのチェックポイント

 ゲーミングPCの電源ユニットを選ぶときのチェックポイントは、次のとおりです。

1|消費電力と電源ユニットの容量をチェックする

2|80 PLUS®認証を取得しているかチェックする

3|電源ユニットの規格をチェックする

4|コネクタの種類・数をチェックする

5|コンデンサーの種類をチェックする

 それぞれ具体的に解説します。

1|消費電力と電源ユニットの容量をチェックする

 適切な電源ユニットの容量を選択するには、パソコンに搭載された各パーツの消費電力の合計を把握する必要があります。下の表は、主なパーツとその消費電力の例を示したものです。

パーツ

主消費電力の目安

CPU(Intel® Core™ i7 14700F)

65W程度

グラフィックス(GPU)(NVIDIA® GeForce RTX™ 4070 SUPER)

200W程度

メモリ

5W程度(1枚あたり)

ストレージ(HDD/SSD)

HDD:5~20W程度 / SSD:1~3W程度

DVD/BD(SATA)

7.5~25W程度

冷却ファン(6~12cm)

2~5W程度(1基あたり)

 これらを合計し、システムの最大消費電力を算出します。そのうえで、システム最大消費電力の約2倍を目安に電源ユニットを選びましょう。消費電力の計算には、シミュレーションできるサイトがあるので利用してみてください。

2|80 PLUS®認証を取得しているかチェックする

 80 PLUS®認証は、電源ユニットの電力変換効率を評価する規格です。この認証を取得している製品は特定の条件下で80%以上の電力変換効率を達成していることを示しており、電力の無駄が少なく発熱も抑えられます。

 80 PLUS®認証には、次のグレードがあります。

・80 PLUS® Standard

・80 PLUS® Bronze

・80 PLUS® Silver

・80 PLUS® Gold

・80 PLUS® Platinum

・80 PLUS® Titanium

 下に記載したグレードほど電力変換効率が高くなっています。

80 PLUS®認証グレードと電力変換効率の一覧表

 下の表は、80 PLUS®認証の各グレードと、その負荷率に応じた電力変換効率を示したものです。負荷率とは、電源ユニットが供給できる最大電力に対する実際の使用割合を指します。

認証ランク

20%負荷時

50%負荷時

100%負荷時

80 PLUS® Standard

80%

80%

80%

80 PLUS® Bronze

82%

85%

82%

80 PLUS® Silver

85%

88%

85%

80 PLUS® Gold

87%

90%

87%

80 PLUS® Platinum

90%

92%

89%

80 PLUS® Titanium

92%

94%

90%

 この表から、負荷率50%(システムの最大消費電力の倍の容量)のときに電力変換効率が最も高くなることがわかります。

3|電源ユニットの規格をチェックする

 電源ユニットの規格には、ATX・SFX・EPSなどがあります。 各規格の特徴と基本サイズは次のとおりです。

・ATX
一般的なデスクトップパソコン向けで、サイズは幅150mm×高さ86mm×奥行き140~180mm

・SFX
小型パソコン向けで、サイズは幅100~125mm×高さ50~63.5mm×奥行き100~130mm

・EPS
サーバーやワークステーション向けで、サイズはATXと同様ですが奥行きが大きい傾向がある

 規格によってサイズは定められているものの、容量やコネクタ数などにより高さや奥行きが若干異なる場合があります。 サイズを間違えるとパソコンケースに収まらない恐れがあるため、選択時には注意が必要です。

4|電源ユニットの規格をチェックする

 電源ユニットは、製品によってコネクタの種類・数が異なります。各パーツに電力を供給するため、必要なコネクタが揃っているか確認が必要です。下の表に、主なコネクタの種類と役割をまとめました。

コネクタ名

役割

メインコネクタ(20+4ピン・24ピン)

マザーボードへの電力供給

CPUコネクタ(4+4ピン・8ピン)

CPUへの追加電力供給。高性能CPUでは必須

PCI Expressコネクタ(6ピン・6+2ピン)

グラフィックス(GPU)の補助電源

SATAコネクタ(15ピン)

ストレージ(HDD/SSD)や光学ドライブへの電力供給

 HDDとSSDの両方を搭載する場合、2つ以上のSATAコネクタが必要です。事前に接続するパーツの種類と数を把握し、適切なコネクタを持つ電源ユニットを選びましょう。

5|コンデンサーの種類をチェックする

 コンデンサーは、電源ユニット内で電圧の安定化やノイズ除去などの役割を担う部品です。使用されるコンデンサーの品質は、電源ユニットの寿命や安定性に影響します。日本製のコンデンサーは、特に高品質で信頼性が高いとされています。

 高品質なコンデンサーを採用した電源ユニットを選ぶことで、安定した性能が期待できるでしょう。製品仕様やメーカーの情報を確認し、信頼性の高いコンデンサーを使用している電源ユニットを選択することをおすすめします。

ゲーミングPCの電源ユニットでよくある質問

 ゲーミングPCの電源ユニットでよくある質問は、次のとおりです。

1|ゲーミングPCを使わないときは電源を切った方がよい?

2|電源ユニットの寿命はどれくらい?

3|電源ユニットの交換は自分でできる?

 各質問にお答えします。

1|ゲーミングPCを使わないときは電源を切った方がよい?

 ゲーミングPCを長い時間使用しないときは、電源を切るのが一般的です。電源を切ることで、電力消費を抑え電気代の節約につながります。

 以前は頻繁に電源をオン・オフすると、HDDや電源ユニットへ負担がかかるといわれていました。しかし現在は、耐久性が向上したことに加え、可動部のないSSDが主であるため大きな影響はありません。

 しかし、電源を切ると起動に時間がかかるため不便です。短時間の休憩はスリープモードを活用し、長時間使わないときは電源を切る運用をおすすめします。

2|電源ユニットの寿命はどれくらい?

 使用環境や負荷の度合いによって異なりますが、電源ユニットの一般的な寿命は約2~5年とされています。寿命が近づくと、パソコンの起動が不安定になったり、動作中に突然シャットダウンしたりなどの症状が現れることがあります。

 これらの兆候を放置して電源ユニットが故障してしまうと、データの消失や他のパーツへの悪影響が生じるリスクがあるため注意が必要です。

 定期的なメンテナンスを行い、異常を感じた場合は早めに電源ユニットの交換やパソコンの買い替えを検討しましょう。

3|電源ユニットの交換は自分でできる?

 電源ユニットの交換は、手順どおり進めれば自分でもできます。具体的な手順は、パソコンケースのカバーを外し、古い電源ユニットに接続されたケーブルをすべて取り外します。その後、新しい電源ユニットを取り付け、各パーツにケーブルを接続するだけです。

 それほど難しくはないですが、作業中のミスや静電気によるパーツの損傷などのリスクが伴います。パソコンの内部構造に詳しくない方や作業に不安がある方は、専門のパソコンショップや修理業者に依頼した方が安全でしょう。

電源ユニットの容量を選べる!マウスコンピューターのおすすめゲーミングPC3選

 マウスコンピューターは、電源ユニットの容量やその他パーツをカスタマイズできるBTO(Build To Order:受注生産)パソコンを販売しています。

 ここからは、マウスコンピューターのおすすめゲーミングPCを容量別にご紹介します。

 

※ 製品の情報や価格は2025年2月14日時点の情報となります。

1.550Wの電源ユニットを搭載した「NEXTGEAR JG-A7A60」

NEXTGEAR JG-A7A60
OS Windows 11 Home 64ビット
CPU AMD Ryzen™ 7 5700X プロセッサー
グラフィックス AMD Radeon™ RX 7600
メモリ標準容量 16GB (8GB×2 / デュアルチャネル)
M.2 SSD 1TB (NVMe Gen4×4)
通常価格
(税込)
179,800
NEXTGEAR JG-A7A60
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550W(80PLUS® BRONZE)の電源ユニットを搭載したNEXTGEAR JG-A7A60は、いろいろなゲームを楽しみたいライトゲーマーにおすすめの製品です。省電力性能やマルチスレッド性能に優れたAMD Ryzen™ 7 5700Xや、アーキテクチャーにAMD RDNA™3を使用したAMD Radeon™ RX 7600を搭載しています。

また、標準装備されたサイドガラスパネルや個性的なフロントデザインも魅力です。LEDケースファンにカスタマイズすれば、パソコン内部のデコレーションを楽しめます。

 

2.750Wの電源ユニットを搭載した「G TUNE DG-I5A7X」

G TUNE DG-I5A7X
OS Windows 11 Home 64ビット
CPU インテル® Core™ Ultra 5 プロセッサー 225
グラフィックス AMD Radeon™ RX 7700 XT
メモリ標準容量 16GB (8GB×2 / デュアルチャネル)
M.2 SSD 1TB (NVMe Gen4×4)
通常価格
(税込)
269,800
G TUNE DG-I5A7X
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G TUNE DG-I5A7Xは、750W(80PLUS® BRONZE)の電源ユニットを搭載したゲーミングPCです。AI処理専用のNPUを搭載した、インテル® Core™ Ultra プロセッサーを採用。AIタスクの高速処理に対応しています。

また、空気の流れに合わせた底面吸気になっており、高効率のエアフローを実現しています。オールラウンドに使用できるスペックを備え、多様なゲームプレイや動画配信に対応できる製品です。

3.1200Wの電源ユニットを搭載した「G TUNE FZ-I7G80」

G TUNE FZ-I7G80
OS Windows 11 Home 64ビット
CPU インテル® Core™ Ultra 7 プロセッサー 265K
グラフィックス NVIDIA® GeForce RTX™ 5080
メモリ標準容量 32GB (16GB×2 / デュアルチャネル)
M.2 SSD 2TB (NVMe Gen4×4)
通常価格
(税込)
569,800
G TUNE FZ-I7G80
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1200W(80PLUS® PLATINUM)の大容量電源ユニットを搭載したG TUNE FZ-I7G80は、GeForce RTX 5080とインテル Core Ultra 7 プロセッサー 265K 搭載したハイエンドゲーミングPCです。

また、最新の無線LAN規格「Wi-Fi 6E」に対応した無線LANモジュールを標準搭載していることで通信効率が向上し低遅延となり、接続端末が多数ある環境でも、ワイヤレスで高速通信が可能です。

まとめ:ゲーミングPCの電源ユニットは容量を確認して選択しよう

 ゲーミングPCの電源ユニットの容量は、システムの最大消費電力の2倍程度にするともっとも電力変換効率がよくなります。十分な容量を確保することで、将来的なパーツのアップグレードに対応できるほか、電源ユニットの劣化防止も期待できます。

 また、容量に加え、80PLUS® 認証グレードの取得や規格、コネクタの種類や数、コンデンサーの種類などもチェックしましょう。適切な電源ユニットを選択することで、安定したゲーム環境を整えられます。

 マウスコンピューターでは、電源ユニットの容量やCPU、メモリなどのカスタマイズに対応したゲーミングPCを販売しています。詳しいスペックや機能については、下の公式サイトからご確認ください。

 

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