3DCG制作では、モデリング・テクスチャ制作・アニメーション・レンダリングなど、多様な作業を行います。用途に応じて複数のソフトウェアを利用することもあるため、3DCG制作用パソコンには高い処理性能が必要です。
性能が低いと、操作に遅延が発生したり、レンダリングに時間がかかったりして作業効率が低下する恐れがあります。そのため、パソコンを選ぶときは、使用するソフトウェアの推奨スペックを把握したうえで、CPU・グラフィックス(GPU)・メモリ・ストレージなどの性能とバランスを見極めることが重要です。
この記事では、3DCG制作用のパソコンを選ぶ時のチェックポイントや、パーツごとの選び方について解説します。ぜひ参考にしてください。
※ 製品の情報や価格は2024年11月21日時点の情報となります。
- 3DCG(3Dモデリング)制作向けパソコンを選ぶときのチェックポイント
- 3DCG制作向けデスクトップパソコン・ノートパソコンのスペックの選び方
- 目的に合った3DCG制作向けパソコンを購入したい方には「BTOパソコン」がおすすめ
- 3DCG制作におすすめ!マウスコンピューターのパソコン(ワークステーション)3選!
- まとめ:3DCG制作はソフトウェアを快適に操作できるパソコンが必要!
3DCG(3Dモデリング)制作向けパソコンを選ぶときのチェックポイント
3DCG制作向けパソコンを選ぶときのチェックポイントは、次のとおりです。
1.ソフトウェアの推奨スペックを確認する
2.ノートパソコン・デスクトップパソコンのメリット・デメリットを理解しておく
3.3DCG制作にはWindows OSがおすすめ
各ポイントを具体的に解説します。
1|3DCG制作に使うソフトウェアの推奨スペックを確認する
3DCG制作は、一人でさまざまな作業をこなすことが多い業務です。具体的には、モデリング・UV展開・テクスチャ制作・レンダリング・動画編集などが挙げられます。
これらの業務を行う際に、複数のソフトウェアを使うことも珍しくありません。たとえば、Maya・Blender・ZBrushなどの3DCGソフトウェアや、Adobe Premiere Proなどの動画編集ソフトです。
各ソフトウェアにはそれぞれ推奨スペックが設定されているため、詳細を確認したうえでパソコンを選択する必要があります。
ただし、推奨スペックはあくまで目安です。制作する3DCGの規模や業務内容によっては、より高い性能が求められる場合もあるため、余裕を持ったスペックのパソコンを選ぶことをおすすめします。
2|ノートパソコン・デスクトップパソコンのメリット・デメリットを理解しておく
3DCG制作には、ノートパソコン・デスクトップパソコンどちらがよいのでしょうか。ここでは、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
1.ノートパソコンのメリット・デメリット
ノートパソコンのメリットは、持ち運びができることや、キーボードやタッチパッド、ディスプレイが一体化していることです。外出先でも3DCG制作ができ、クライアントとの打ち合わせにも活用できます。周辺機器を買い集める必要もなく、パソコン本体を購入するだけで3DCG制作を始められます。
ただし、デスクトップパソコンと比べると、パーツの交換やアップグレードが難しい場合が多く、同じ価格帯では性能が劣ることが一般的です。冷却性能も比較的低いため、長時間のレンダリング作業ではパフォーマンスが低下する恐れもあります。
比較的負荷の軽い業務を行う方や、持ち運ぶ機会が多い方、外出先で作業する機会が多い方は、ノートパソコンを選択するとよいでしょう。
2.デスクトップパソコンのメリット・デメリット
デスクトップパソコンは、高性能なパーツを搭載できる点や、快適な作業環境を構築しやすい点がメリットです。大型のグラフィックス(GPU)や冷却システムを搭載できるため、高負荷の3DCG制作でも安定した性能を発揮します。
パーツの交換も容易で、グラフィックス(GPU)やメモリの増設により、将来的なアップグレードが可能です。また、ディスプレイやキーボード、マウスなど好みの製品で構成できるため、理想的な作業環境を構築できます。
一方で、設置場所が固定され、持ち運びができないため、在宅やオフィスでの作業が中心となります。ハイスペックのデスクトップパソコンは大型の製品が多いため、設置スペースも必要です。性能や作業環境を重視するクリエイターは、デスクトップパソコンをおすすめします。
3|3DCG制作にはWindows OSがおすすめ
3DCG制作用のパソコンは、Windows OSがおすすめです。主要な3DCGソフトウェアのほとんどがWindows OSに対応しており、自分に合うソフトウェアを利用できます。
また、NVIDIA・AMDなどが販売する、高性能なグラフィックス(GPU)を自由に選択できる点も魅力です。パーツの組み合わせも自由度が高く、予算や用途に応じた構成が可能です。
さらに、メモリやストレージの増設やグラフィックス(GPU)の換装もしやすく、制作規模の拡大にも対応できます。サードパーティ製のプラグインやツールも豊富で、制作の幅も広がるでしょう。
以上のように、Windows OSは3DCG制作において自由度が高く、技術進歩にも追従しやすいためおすすめです。
3DCG制作向けデスクトップパソコン・ノートパソコンのスペックの選び方
3DCG制作向けパソコンを選ぶ際は、次のスペックを確認しましょう。
1.CPU
2.グラフィックス(GPU)
3.メモリ
4.ストレージ
5.ディスプレイのサイズ
6.ディスプレイの解像度
それぞれの選び方やおすすめのスペックについて解説します。
1|用途別のスペック構成
まずは、3DCG制作用パソコンのスペックにおける、おおまかな目安を紹介します。
次の表は、用途別の目安となるスペックをまとめたものです。
パーツ |
初心者向け |
本格的な制作向け |
プロフェッショナル向け |
CPU |
・Core™ i5 |
・Core™ i7 |
・Core™ i9 |
グラフィックス(GPU) |
・RTX 4060 |
・RTX 4070 Ti |
・RTX 4090 |
メモリ |
32GB |
16GB |
64GB以上 |
ストレージ |
SSD 512GB |
SSD 1TB以上 + HDD |
SSD 2TB以上 + HDD |
表内のスペックはあくまでも目安なので、自分の業務内容を明確にしてパーツごとに検討することが大切です。次項から、パーツごとの具体的なスペックや選び方について解説します。
2|CPUは「Core i5・Ryzen 5」以上
CPUはパソコンのデータ処理全般を担い、3DCG制作の処理速度に影響するパーツです。モデリングやテクスチャ制作など、基本的な3DCG業務はIntel® Core™ i5 またはAMD Ryzen™ 5 から対応できます。
高負荷の業務用ソフトウェアを使用する場合は、Intel® Core™ i7・AMD Ryzen™ 7 以上のCPUがおすすめです。複数のアプリケーションを同時に使用する場合や、レンダリング時間を短縮したい場合は、Intel® Core™ i9・AMD Ryzen™ 9 を選択すると作業効率が向上します。
CPUを選ぶ際は、処理速度に関係するクロック周波数や並列処理できる数に関係するコア数やスレッド数も確認しましょう。動作クロックが高く、コア数・スレッド数が多いCPUを選ぶと、レンダリング時間が短縮できます。
3|グラフィックス(GPU)は「RTX™ 40シリーズ・RX™ 7000シリーズなど」
グラフィックス(GPU)は、画像処理を担当するパーツです。3DCG制作は画像処理やマルチスレッド性能が求められる場面が多いため、グラフィックス(GPU)は特に重要なパーツといえます。
具体的な製品としては、NVIDIA RTX™ 40シリーズや、AMD Radeon™ RX 7000シリーズがおすすめです。たとえば、NVIDIA RTX™ 40シリーズは、AIに対応するクリエイティブアプリの活用や、AI技術を活用した高速レンダリングなどを実現できます。
プロフェッショナル向けには、NVIDIA RTX™ Aシリーズや、NVIDIA RTX™ Adaシリーズなどのワークステーション向けグラフィックス(GPU)があり、信頼性の高い制作環境を構築できます。
4|メモリは「16~32GB以上」
メモリは、3DCGデータを一時的に保存する場所として機能するパーツです。メモリ容量が少ないと動作が遅くなり、作業効率が低下します。3DCG制作は処理するデータ量が多く、マルチタスクを行うこともあるため、大容量メモリを搭載したいところです。
負荷の軽い3DCG制作は16GBから始められますが、32GB以上のメモリ容量がおすすめです。32GB以上あると、複数のソフトウェアを同時に使用する際も、パフォーマンスを維持しやすくなります。
メモリ規格も速度に影響する要素です。データ処理を速くしたい場合は、DDR5を選択しましょう。また、将来のアップグレードのために、メモリスロットに空きがある製品もおすすめです。
5|ストレージは「M.2 SSD 500GB以上」
ストレージは、3DCG制作に使用するデータを保存するパーツです。内蔵ストレージにはSSD(ソリッドステートドライブ)が採用されますが、読み書きを高速化したい方は、M.2 SSDを選択しましょう。M.2 SSDは、従来のSSDと比べて読み書き速度が速く、ソフトウェアの起動やデータの読み込みをスムーズに行えます。
容量は、3DCGソフトウェアと制作データの量を考慮し、500GB以上を目安に選択しましょう。コストを抑えたい場合は、M.2 SSDとHDD(ハードディスクドライブ)を組み合わせる構成がおすすめです。M.2 SSDにソフトウェアを、HDDに制作データを保存する使い分けで、速度と容量をバランスよく確保できます。
6|ディスプレイの画面サイズは「27インチ以上」
3DCG制作に使うディスプレイサイズは、大きいほど作業効率がよくなります。3DCGのモデリング作業では、複数のウィンドウを同時に表示する機会が多いため、27~32インチ程度の画面サイズがおすすめです。特に、横幅が広いウルトラワイドディスプレイにすると、3つのウィンドウを余裕を持って配置でき、作業効率がより向上します。
また、デュアルディスプレイにするのも効果的です。メインの作業用に27インチ、サブの参照用に24インチなど、スペースを考慮して検討してみるとよいでしょう。
ノートパソコンの場合は16インチ以上を選び、外付けディスプレイと組み合わせることで快適な作業環境を実現できます。
7|ディスプレイの解像度は「フルHD以上」
ディスプレイの解像度は、画面の精細さや作業領域の広さを左右する要素です。3DCG制作では、フルHD(1920×1080)以上の解像度があれば細かな作業にも支障なく取り組めます。
WQHD(2560×1440)解像度になると、フルHDの約1.8倍の情報量を表示でき、作業領域が広がります。4K(3840×2160)解像度では、より緻密なモデリングやテクスチャ制作が可能です。ただし、高解像度は表示される文字が極端に小さくなるため、画面サイズが最低でも27インチ以上あるときに選択しましょう。
また、高解像度になるほどグラフィックス(GPU)への負荷が増加するため、パソコンの性能とのバランスを考慮する必要があります。
目的に合った3DCG制作向けパソコンを購入したい方には「BTOパソコン」がおすすめ
BTO(Build To Order:受注生産)パソコンは、スペックをカスタマイズでき、注文を受けてから組み立てるところが特徴です。3DCG制作の用途に応じてパーツを選択できるため、思い描くスペックのパソコンを購入できます。
たとえば、CPUやグラフィックスの種類、メモリやストレージの容量などを、業務内容や担当するプロジェクトの規模に合わせて選択できます。また、メーカーによりますが、保証やサポートの内容は一般的な既製品と変わりません。
注意点は、製品によっては自宅に届くまで一定の時間を要することが多いため、余裕をもって注文した方がよいことです。
3DCG制作におすすめ!マウスコンピューターのパソコン(ワークステーション)3選!
マウスコンピューターは、国内生産のBTOパソコンを販売しています。ここからは、3DCG制作におすすめできる、マウスコンピューターのパソコンを3製品ご紹介します。
※ 製品の情報や価格は2024年11月21日時点の情報となります。
1.3DCG制作をこれから始めたい方におすすめ!「DAIV FX-I7G6T
(3Dモデリング向けセット)」
OS | Windows 11 Home 64ビット |
CPU | インテル® Core™ i7 プロセッサー 14700F |
グラフィックス | NVIDIA® GeForce RTX™ 4060 Ti |
メモリ標準容量 | 32GB (16GB×2 / デュアルチャネル) |
M.2 SSD | 1TB (NVMe Gen4×4) |
通常価格 (税込) |
369,800円 |
DAIV FX-I7G6T
(3Dモデリング向けセット) この製品を詳しく見る
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DAIV FX-I7G6T(3Dモデリング向けセット)は、次の製品がセットになったモデルです。
・デスクトップパソコン本体
・液晶ディスプレイ(27インチ)
・ワイヤレスキーボード・マウス
・左手キーボード
左手キーボードは、カスタマイズできるキーやアナログコントローラー、スクロールホイールなどを搭載しており、3DCG制作の各種操作の効率化に役立ちます。3DCG制作をすぐに始められるセットになっているため、これから始める初心者にもおすすめです。
CPUには Intel® Core™ i7 プロセッサー(第14世代)、グラフィックス(GPU)にはNVIDIA® GeForce RTX™ 4060 Ti、メモリは32GBを搭載しています。多様な業務に対応できるスペックを備えているため、本格的な開発業務を行う方にもおすすめです。
2.プロフェッショナル向けワークステーション!「DAIV FX-I7N20」
OS | Windows 11 Home 64ビット (DSP) |
CPU | インテル® Core™ i7 プロセッサー 14700KF |
グラフィックス | NVIDIA RTX™ 2000 Ada 世代 |
メモリ標準容量 | 32GB (16GB×2 / デュアルチャネル) |
M.2 SSD | 1TB (NVMe Gen4×4) |
通常価格 (税込) |
409,800円 |
DAIV FX-I7N20
この製品を詳しく見る
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DAIV FX-I7N20は、プロユースのグラフィックス(GPU)を搭載したワークステーションです。複雑なタスクを高速で処理する、NVIDIA RTX™ 2000 Ada を採用しています。22基の第3世代RTコア、88基の第4世代Tensorコア、2,816基のCUDA® コアを組み合わせており、AI技術の活用にも効果的です。
また、大型シャーシを採用し、ロングサイズのグラフィックス(GPU)を2枚、240mmの水冷クーラーを2基同時に搭載できます。高度な3DCG制作や、大規模プロジェクトに参加するプロフェッショナルにおすすめです。
3.ノートパソコンで3DCG制作を始めたい方向!「DAIV R6-I7G60SR-A」
OS | Windows 11 Home 64ビット |
CPU | インテル® Core™ i7-13650HX プロセッサー |
グラフィックス | NVIDIA® GeForce RTX™ 4060 Laptop GPU |
メモリ標準容量 | 32GB (16GB×2 / デュアルチャネル) |
M.2 SSD | 1TB (NVMe Gen4×4) |
サイズ | 16型 |
通常価格 (税込) |
279,800円 |
DAIV R6-I7G60SR-A
この製品を詳しく見る
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ノートパソコンで3DCG制作に取り組みたいクリエイターは、DAIV R6-I7G60SR-Aがおすすめです。
第13世代の Intel® Core™ i7 プロセッサー や、NVIDIA® GeForce RTX™ 4060 Laptop GPU を搭載しており、外出先でも質の高い作業を行えます。高い冷却効率を発揮するトリプルファンを搭載しており、長時間の作業でも安定したパフォーマンスを得られるのも魅力です。
さらに、メモリは32GBの高速なDDR5、ストレージは1TBのM.2 SSDを搭載しています。メモリは最大64GBまで増設できるので、必要に応じたアップグレードが可能です。
まとめ:3DCG制作はソフトウェアを快適に操作できるパソコンが必要!
3DCG制作用パソコンは、CPU・グラフィックス(GPU)・メモリ・ストレージの性能が制作効率に影響します。Intel® Core™ i7 以上のCPUとNVIDIA® RTX™ 40シリーズ以上のグラフィックス(GPU)を組み合わせることで、スムーズなモデリングとレンダリングが実現できます。
メモリは32GB以上、ストレージはM.2 SSDとHDDの組み合わせがおすすめです。また、ディスプレイのサイズはデスクトップパソコンは27インチ以上、ノートパソコンは16インチ以上を選択すると、十分な作業領域を確保できるでしょう。
マウスコンピューターは、さまざまなクリエイティブワークに対応するパソコン・ワークステーションを販売しています。3DCG制作向けパソコン・ワークステーションの詳しい情報は、下記の公式サイトでぜひご確認ください。