パソコンのキーボードには英語配列と日本語配列の2種類があり、それぞれキーの配置や数が異なります。日本では日本語配列のキーボードが多いですが、英語配列の方が使いやすいという声もあるため、興味を持っている方も多いのではないでしょうか。
英語配列は記号やショートカットキーが使いやすいなどの特徴がありますが、人によっては使いづらくなる恐れもあるため、具体的なメリット・デメリットを把握して検討することが大切です。
この記事では、キーボードの英語配列・日本語配列それぞれの特徴や違い、英語配列のメリット・デメリットや選び方について解説します。ぜひ参考にしてください。
- キーボードの英語配列・日本語配列とは?
- 英語配列キーボードのメリット
- 英語配列キーボードのデメリット
- 英語配列キーボードの選び方
- 英語配列のキーボードなのに日本語配列で入力される!Windows 11の設定方法とは?
- 英語配列のキーボードで日本語入力をする方法とは?
- まとめ:キーボードの英語配列は記号を使う頻度が高い方におすすめ
キーボードの英語配列・日本語配列とは?
まずは、キーボードの英語配列・日本語配列それぞれの特徴と違いについて解説します。
英語配列とは?
キーボードの英語配列は、「ASCII配列」や「US配列」とも呼ばれ、主に英語圏で使用されるスタンダードな配列です。英語配列には、101個のキーがある「101キーボード」と、Windowsキーを2個、アプリケーションキーを1個追加した「104キーボード」の2種類があります。
それぞれがアルファベットと記号のみが印字されており、日本語配列のようなかな文字は印字されていません。また、日本語配列のキーボードに見られる特定のキーがなく、一部の記号が異なる配置になっています。
日本語配列とは?
日本語配列は「JIS配列」とも呼ばれており、日本独自のキーボード配列です。各キーにはアルファベットとひらがなが印字されていることが一般的ですが、中にはひらがなが印字されていない製品も存在します。
種類は、106個のキーがある「106キーボード」と、Windowsキーを2個、アプリケーションキーを1個追加した「109キーボード」の2種類です。
日本語配列の特徴は、日本語入力に特化したキーの存在です。例えば、「カタカナ・ひらがな」キーや「全角/半角」キーなどが挙げられます。これにより、日本語の文章を書く際の効率が向上します。
キーボードの英語配列と日本語配列の違い
英語配列と日本語配列の主な違いは、キーの種類や形状、配置などです。それぞれの違いをまとめた表は次の通りです。
項目 |
英語配列 |
日本語配列 |
Enter/Returnキー |
・横幅が長い ・ホームポジションから近い |
・縦に長く面積が大きい ・ホームポジションから遠い |
Spaceキー |
・横幅が長い ・「Spaceキー」の左右のキーが押しにくい |
・横幅が短い ・「Spaceキー」の左右にあるキーが押しやすい |
BackSpaceキー |
・横に長く押しやすい ・ホームポジションから近い |
・ほかの文字キーと同じ大きさ ・ホームポジションから遠い |
・カタカナ・ひらがな ・「半角/全角」 ・「変換」 ・「無変換」 ・「¥」 |
・なし ・日本語入力と英語入力の切り替えは「Alt」+「`」もしくは「~」で行う ・「¥」キーは「\」キーの変換で入力する |
あり |
記号キー (「@」「_」「:」「;」「=」「&」など) |
まとまって配置されていて押しやすい |
英語配列に比べてバラバラに配置されていて押しにくい |
英語配列キーボードのメリット
英語配列キーボードのメリットは次の通りです。
・記号キーが使いやすい
・ショートカットキーが使いやすい
・ホームポジションが崩れにくい
・表記がシンプルで見やすい
・選択肢が多い
各メリットを具体的に解説します。
記号キーが使いやすい
英語配列キーボードは、記号キーの配置が使いやすく設計されています。具体的には次の通りです。
・カギかっこが横に並んでいる
・「ー」「=」「+」が横に並んでいる
・「:」と「;」 が同じキーで打てる
・記号が固まって配置されている
上記により記号の入力がスムーズになり作業効率が向上します。特に、プラグラミングや英文のタイピングでメリットを感じられるでしょう。このような理由から、記号キーを使うことが多い方は英語配列がおすすめです。
ショートカットキーが使いやすい
英語配列のキーボードは、ショートカットキーが使いやすい点もメリットです。多くのソフトウェアやアプリは、記号キーがまとまっている英語配列のレイアウトを前提にショートカットキーが設計されています。そのため、英語配列はこれらのショートカットキーを直感的かつ効率的に活用できます。
ショートカットキーの活用は、操作を効率化するために重要なテクニックです。その意味では、ショートカットキーが使いにくい日本語配列は効率化において不利なレイアウトといえます。
また、英語配列には「変換」キーや「無変換」キー、「カタカナ/ひらがな」キーがないため、ショートカットキーを押す際によく使う「Alt」キーが押しやすくなっているところもメリットです。
ホームポジションが崩れにくい
英語配列キーボードは、ホームポジションを保ちやすい設計になっています。具体的には、横に長い「Enter/Return」キーや「BackSpace」キーなど、キー配置が最適化されていて、指の移動距離が短くて済むからです。
ホームポジションが崩れにくいと、タイピングのスピードが速くなるほか、長時間タイピングする際の手の疲れを軽減でき、タイピングの正確性が保ちやすくなります。
表記がシンプルで見やすい
英語配列キーボードは、ひらがな表記がないためキーの表記がシンプルで見やすくなっています。スタイリッシュに見えるため、「かっこいいキーボードが欲しい」という方にもおすすめです。
また、「Enter/Return」キーの高さが統一されており、スッキリとしたデザインをしています。キーボード全体が整理されているように見え、タイピング時の視覚的なストレスを感じにくいこともメリットです。
選択肢が多い
英語配列キーボードは世界標準であるため、海外を含めた市場に出回っている製品の選択肢が豊富です。さまざまなメーカーから、多様なデザインや機能を持つキーボードが販売されています。
これにより、用途や好みに応じた最適なキーボードを見つけやすくなるでしょう。海外を含めた多くの製品からキーボードを選びたい方は、英語配列がおすすめです。
英語配列キーボードのデメリット
英語配列キーボードのデメリットは、「Enter/Return」キーの縦幅が短いことや、かな入力がしにくいこと、学校や職場で提供されるキーボードは日本語配列が多いことです。
「Enter/Return」キーが横に長い形状は、ホームポジションから近いメリットがある一方、縦幅が短い分タイピングミスにもつながります。
かな入力は、日本語配列のように1つのキーで切り替えられないため、頻繁に切り替えを行う方にとってはデメリットに感じるでしょう。
日本の学校や職場では日本語配列のキーボードを採用することが多いため、英語配列に慣れている場合、学校や職場で提供されるパソコンが使いにくく感じる恐れがあります。
これらのデメリットを考慮したうえで、英語配列・日本語配列のどちらにするか検討しましょう。
英語配列キーボードの選び方
英語配列キーボードを選ぶ際に、確認するポイントは次の通りです。
・接続方式を確認
・テンキーの有無を確認
・採用されているキースイッチを確認
各ポイントの具体的な選び方を解説します。
接続方式を確認
接続方式の選択は、英語配列キーボードの使い勝手に影響する重要な要素です。接続方式には無線と有線の2種類があり、それぞれにメリット・デメリットがあります。
無線キーボードは配線がないためデスクがスッキリとするほか、配置の自由度が高い、スマホやタブレットにも接続できるというメリットがあります。しかし、電池が消耗する、充電が必要になる、そして接続が遅延する恐れがあるなどのデメリットもあります。
一方で、有線キーボードは接続が安定しており、電源に関する心配が不要な点がメリットです。しかし、ケーブルが煩雑に感じることや、移動や配置変更の際に取り回しが制限されるなどのデメリットがあります。
これらを考慮し、使用する環境や作業の種類を基に最適な接続方式を選択しましょう。
テンキーの有無を確認
キーボードのテンキーは、数字入力のしやすさに影響があります。テンキー付きのキーボードは、数字の入力が頻繁に行われる業務や、会計作業、データ入力作業に最適です。テンキーを使用することで、数字の入力速度と精度が向上するメリットがあります。
しかしその反面、キーボード自体のサイズが大きくなりデスクが狭くなる、マウスまでの距離が遠くなり操作に時間がかかる、などのデメリットがあります。
テンキーのないコンパクトなキーボードは、スペースの節約に役立ち、持ち運びに便利な点がメリットですが、数字を頻繁に入力する方にとっては作業効率が悪くなるデメリットがあります。
どちらを選ぶかは、作業内容やデスクのスペース、持ち運びの必要性などを基に検討するとよいでしょう。
採用されているキースイッチを確認
英語配列のキーボードには、次のようなキースイッチの種類があります。
・メカニカル
・メンブレン
・パンタグラフ
・静電容量無接点
キースイッチの種類はタイピングの感触や音、耐久性に影響します。それぞれの特徴は次の通りです。
キースイッチの種類 |
特徴 |
メカニカル |
・キー内部のスイッチがそれぞれ独立しており、スイッチの交換ができるため長期間使える ・正確なタイピングがしやすい ・耐久性は高いが打鍵音は大きい ・キータッチのバリエーションが多い ・価格は比較的高い |
メンブレン |
・シンプルな構造で安価に販売されている ・打鍵音は比較的静か ・スイッチを底まで押し込む必要がありタイピングミスしやすい ・スイッチが独立していないため個別で修理ができない |
パンタグラフ |
・薄型のキーボードやノートパソコンによく採用されるキースイッチ ・構造はメンブレンと同じなので、タイピングミスは比較的しやすい ・打鍵音は大きめ ・価格は比較的安い |
静電容量無接点 |
・物理的な接点がないため耐久性が高い ・荷重を選べる ・柔らかい打鍵感をしている ・二重入力が発生せずタイピングミスをしづらい ・価格は高い |
価格や打鍵感、耐久性などを指標に選ぶとよいでしょう。特に打鍵感は重要なので、できれば一度触ってみることをおすすめします。
英語配列のキーボードなのに日本語配列で入力される!Windows 11の設定方法とは?
英語配列のキーボードを接続すると、OS側も自動で英語配列に切り替えるのが一般的ですが、日本語配列のままになっているケースもあります。
これでは英語配列の印字通りに入力できないため、設定を切り替える必要があります。Windows 11で英語配列に切り替える手順は次の通りです。
タスクバーの「スタートボタン」を右クリックし、「設定」を選択する
画面左側にある「時刻と言語」→「言語と地域」をクリックする
「優先する言語」直下の「日本語」の右にある「 ・・・」を選択後に表示される「言語のオプション」をクリックする
「キーボードレイアウト」の右側にある「レイアウトを変更する」をクリックする
「ハードウェアキーボードレイアウトの変更」のプルダウンを「日本語キーボード(106/109)キー」から、「英語キーボード(101/102)キー」に変更する
「今すぐ再起動する」を選択する
以上で、OS側を日本語配列から英語配列に変更できます。
英語配列のキーボードで日本語入力をする方法とは?
前述した通り、英語配列のキーボードは「全角/半角」キーがないため、ほかの方法で日本語入力に切り替える必要があります。
Windows 11のデフォルトでは、Altキー+`キーもしくは~キーで英語入力と日本語入力の切り替えができます。
同じキーで切り替えを行うと、現在どちらの入力になっているか分かりづらいのが難点です。そのような場合は、次項で紹介する「個々のキーにIMEのオン・オフを割り当てる方法」を試してみてください。
個々のキーにIMEのオン・オフを割り当てるには?
個々のキーにIMEのオン・オフを割り当てるには、Microsoft Storeでダウンロードできる「Microsoft PowerToys」を使用します。「Microsoft PowerToys」は、Microsoftが開発しているOSS(オープンソースソフトウェア)です。
具体的な手順は次の通りです。
「Microsoft PowerToys」を開き「Keyboard Manager」→「キーの再マップ」を選択する
「Alt(Left)」を「IME Non-Convert」に変更する
「Alt(Right)」を「IME Convert」に変更する
以上の手順で、それぞれの「Alt」キーにIMEのオン・オフを割り当てられます。
まとめ:キーボードの英語配列は記号を使う頻度が高い方におすすめ
キーボードの英語配列は、記号キーやショートカットキーが使いやすくホームポジションが崩れにくいため、慣れるとタイピングの効率が向上する可能性があります。特に、英文の入力やプログラミングなどをする際は快適にタイピングできるでしょう。
ただし、かな入力をしやすくするには自分で設定を変更する必要があります。また、学校や職場のパソコンが日本語配列の場合、その都度使い方を変えなければならないため面倒に感じるかもしれません。
これらを考慮して、自身の使用目的や環境に合う配列のキーボードを選択しましょう。
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