GPUは、使い方や使用環境によって温度が高くなりすぎることがあります。GPU(グラボ)の温度が高くなりすぎると、不具合や故障の原因になるので、温度管理には注意しなければなりません。そのためには、適切な温度の目安や温度の確認方法を認識しておくことが大切です。
この記事では、GPUの適正な温度や温度の確認方法、高温になりすぎたとき時に起こる症状や、温度を下げる具体的な方法を解説します。パソコンの寿命にも影響する大切な要素なので、ぜひ押さえておいてください。
- GPU(グラボ)の適正な温度とは?
- GPUの温度をWindows 11で確認する方法
- GPUの温度が上がりすぎたときに起こる症状
- GPUの温度を下げる方法
- まとめ:GPUの温度が上がり過ぎないように注意しよう!
GPU(グラボ)の適正な温度とは?
まずは、メーカー仕様に記載されている「最高温度」を確認したうえで、実際に使用する際の温度の目安を解説していきます。
メーカー仕様の最高温度を確認
GPUには製品ごとに、動作する温度の目安を示す「最高温度」が設定されています。NVIDIAの主要なGPU(グラボ)の最高温度は以下の通りです。
RTX 4070 |
RTX 3070 Ti |
GTX 1650 |
|
GPUの最高温度 |
90℃ |
93℃ |
92℃ |
出典:
現行世代と前世代の GeForce シリーズのグラフィックス カードの比較 | NVIDIA (外部リンク)
このように、製品によって若干の違いはありますが、おおむね90~100℃前後の製品が多くなっています。この温度を超えなければ問題ないと思われがちですが、最高温度あたりで使用を続けるのはリスクがあるので注意が必要です。
アイドル時は30~40度、高負荷時は80~90度までが目安!
GPUの適正な温度は、メーカー仕様の最高温度より「-10℃」程度といわれています。しかし、これはPCゲームや高度なグラフィック処理など、高負荷な状態での話です。アイドル状態、つまり通常使用時は30~40度が一般的といわれています。この温度を超えて使用を続けると、GPUの不具合や故障のリスクが高まるので注意しなければなりません。
GPUの温度が上がる原因としては、冷却ファンの故障や長時間の高負荷作業、高い室温や排熱環境の悪さなどがあります。また、GPUのコンデンサの特徴として温度が10℃下がると寿命が2倍になるともいわれています。このように、適正な温度管理は、GPUの性能を最大限に引き出し、長期間安全に利用するための重要な項目です。
GPUの温度をWindows 11で確認する方法
GPUの温度は、パソコン内で確認することができます。Windows 11でGPUの温度を確認する方法は以下の手順です。
タスクバーにあるスタート(Windowsマーク)を右クリックする
「タスクマネージャー」を選択する
左側のメニューにある「パフォーマンス」を選択する
「GPU」を選択して温度を確認する
以上で確認ができます。温度が高すぎる場合は、不具合が出るリスクがあります。具体的な症状は、次章で詳しく解説します。
GPUの温度が上がりすぎたときに起こる症状
GPUの温度が上がりすぎたときに起こる症状は、以下の4つです。
・ファンが高回転で回り続ける
・サーマルスロットリングによりパフォーマンスが低下する
・各種動作が不安定になる
・強制シャットダウンや再起動が発生する
各症状について詳しく解説します。
ファンが高回転で回り続ける
GPUに負荷がかかり温度が上昇すると、冷却ファンが高回転で回りはじめます。ファンが長時間高速で回り続ける場合は、GPUの温度が異常に高くなっている可能性があるので注意が必要です。このようなときは、GPUの温度を確認して、問題があれば原因を特定・改善しなければなりません。パフォーマンスの低下や故障の原因になることもあるので、早めの対処が必要です。
サーマルスロットリングによりパフォーマンスが低下する
GPUの温度が高くなると、サーマルスロットリングという現象が発生することがあります。これは、GPUが高温によるダメージや故障を防ぐため、意図的に性能を下げる機能です。パソコン全体のパフォーマンスが低下するので、GPUの処理速度にも影響があります。
具体的には、PCゲームのフレームレートが極端に落ちたり、動画のエンコード時間が長くなったりなどです。このような症状が頻繁に出る場合は、GPUの温度が上がりすぎているのかもしれません。
各種動作が不安定になる
GPUの温度が上がりすぎると、パソコンの各種動作が不安定になることがあります。具体的な症状は、以下があげられます。
・画面にノイズが発生する
・グラフィックが正常に表示されない
・画面が暗転する
・色表示がおかしくなる
・文字入力やマウス操作に誤作動が起こる
これらの症状は、GPUの温度が高すぎることが原因かもしれません。放置すると、GPUやその他パーツにも悪影響を及ぼし、より深刻な問題に発展する可能性があります。このような症状は、ディスプレイや入力機器が原因の可能性もあるので、まずは原因を確認したうえで対処しましょう。
強制シャットダウンや再起動が発生する
GPUの温度が極端に高くなると、熱暴走による強制シャットダウンや再起動が発生することがあります。これは、GPUが故障している可能性があるため、非常に深刻な状況です。ただし、シャットダウンや再起動が発生する原因はほかにもあります。
たとえば、ソフトウェアの不具合やウイルス感染、電力不足、OSのアップデート中などが挙げられます。複数の原因が考えられるので、確認が必要です。グラフィック系の問題に加えて、シャットダウンや再起動が頻発する場合は、GPUの問題である可能性が高いので、次章で紹介する温度を下げる対処法を試してみるとよいでしょう。
GPUの温度を下げる方法
GPUの温度が原因で不具合が発生している場合は、以下の方法で温度を下げるようにしましょう。
・デスクトップPCであれば、PCのケースを開ける
・設置場所を変えて室内温度を下げる
・PCケースのサイズを大きくする
・PCケースファンを増設する
・ファンが回転するタイミングを調整する
・GPUパワーやメモリクロックを調整する
各項目の具体的な方法を解説します。
デスクトップPCであれば、PCのケースを開ける
GPUの温度が高くなっている場合、PCケースのフタを開けると内部の空気の流れがよくなり、排熱がしやすくなります。ただし、これはあくまでも一時的な応急処置であり、根本的な解決にはなりません。PCケースのフタを開けた状態で使用すると、感電のリスクや冷却ファンへの異物の巻き込み、高温部品でのヤケドなどの危険が伴います。GPUの温度が高いと感じたら、一時的にケースを開けて応急処置を施し、その後は根本的な対策を検討しましょう。
設置場所を変えて室内温度を下げる
パソコンの設置場所も、GPUの温度に影響を与えます。たとえば、直射日光が当たる場所や湿気の多い場所、壁際などは、パソコンの温度が上がりやすい環境です。日光が当たらず風通しの良い場所にパソコンを設置することで、内部温度の上昇を抑えられます。
また、室内温度の調整も重要です。エアコンなどを利用して適度な温度に保つようにしましょう。適切な設置場所と室内温度の管理をすることで、GPUの温度を適正な範囲に保ちやすくなります。
PCケースのサイズを大きくする
デスクトップPCはPCケースのサイズを大きくすることで、内部のエアフローが改善され、排熱がしやすくなります。また、大きなPCケースにしておくと、大型のCPUファンやハイエンドなグラフィックボードを搭載しやすくなるので、拡張性の面でも利点があります。
さらに、ストレージなどを設置するスペースであるドライブベイや、拡張スロットの数が増えるのもメリットです。このように、大きなサイズのPCケースを選ぶことで、GPUを含むパソコン内部の温度上昇を抑えられるほか、利便性も向上します。
PCケースファンを増設する
GPUの温度を下げるには、PCケース内のエアフローを改善するのが効果的です。具体的な方法としては、ケース内の適切な位置に、追加のファンを増設するのがよいでしょう。空気の流入口に吸気用のファンを設置し、排気口には排気用のファンを追加で取り付けることで、ケース内の空気の流れがよくなり、冷却効果が高まります。
ただし、既製品のパソコンは冷却能力を考慮して設計されているため、基本的にファンの増設は必要ありません。自作パソコンや、特に高負荷な作業を頻繁に行うユーザーの場合、追加のファンによるエアフローの改善を検討しましょう。
ファンが回転するタイミングを調整する
冷却ファンは、ある一定以上の温度になると作動するようにプログラムされています。GPUの温度上昇を防ぎたい場合は、冷却ファンが作動する温度を下げるのも効果的です。作動する温度を変えるには、専用のソフトウェアを使う必要はありますが、試してみるとよいでしょう。
GPUパワーやメモリクロックを調整する
フリーソフトを使ってGPUのパワーに制限をかけたり、クロック周波数を下げたりすると、温度が上がりづらくなります。GPUが出力するパワーを従来より低く設定すれば、発熱量が減り温度上昇を抑えることが可能です。サーマルスロットリングが作動する温度を低く設定するのも有効な対策になります。
また、クロック周波数を下げる「アンダークロック」を行えば、性能は低下するものの温度上昇を抑えられます。これらの数値を調整することで、GPUを適正温度に保ち、安全に利用できるでしょう。
まとめ:GPUの温度が上がり過ぎないように注意しよう!
GPUは適正温度内で使用しないと、不具合や故障の原因になります。アイドル状態では30〜40℃、高負荷の状態では80~90℃を目安に温度管理を行いましょう。パソコンに不具合が起こった場合は、温度を確認してみて、高すぎる場合は今回紹介した対処法を試してみてください。
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