パソコンの不具合を直したいときや、売却・処分したい場合に初期化をすることがあります。
パソコンの初期化はOSを再インストールしてデータなども消去するため、原因不明の不具合を直したいときに効果的です。
また、売却・処分する際にも、個人情報の流出を防ぐために初期化しなければなりません。安全に正しく初期化をするためには、基礎知識や手順の理解が必要になります。
この記事では、Windows10の初期化の概要や、実行前に必要な準備、具体的な手順について詳しく解説します。
- パソコンの初期化とは【Windows10】
- 初期化で改善できる問題【Windows10】
- 初期化をする際の注意点【Windows10】
- 初期化を失敗しないために必要な6つの準備【Windows10】
- Windows10を初期化・クリーンインストール・復元する方法
- Windows10が起動しないときに初期化する方法
- まとめ:Windows10の初期化は事前の確認・準備が大切
パソコンの初期化とは【Windows10】
まずは、初期化の具体的な内容と、初期化と混同しがちなリフレッシュ・クリーンインストール・復元について解説します。
パソコンの初期化とは「出荷時の状態に戻す」こと
初期化とは、OSやファイルなどを消去して出荷時の状態に戻すことです。購入時にインストールしたソフトウェアやシステムファイル、個人ファイルなどはすべて消去されます。
しかし、全くソフトウェアが入っていない状態かというとそうではありません。「工場出荷時の状態」なので、はじめからインストールされていたソフトウェアは残ります。
パソコンの初期化は不具合の解消や売却・処分時のデータ消去に効果的ですが、不具合の解消の場合は、初期化の前に次項で紹介する「リフレッシュ」や「復元」を検討してみるとよいでしょう。
初期化とリフレッシュ・クリーンインストール・復元の違い
初期化と似た処理に、リフレッシュ・クリーンインストール・復元があります。それぞれ内容が異なる点があるので、初期化との違いを認識しておくことが大切です。各内容は以下の表をご覧ください。
名称 |
内容 |
リフレッシュ |
OSは再インストールされるが、設定情報や個人ファイル、アプリなどは削除されない |
クリーンインストール |
購入時に入っていたソフトウェアを含めすべて削除し、OSだけの状態にすること |
復元 |
事前に作成した復元ポイントや、Windowsアップデート前の状態に戻すこと |
Windowsが原因のトラブルを解消したいけど、ファイルなどは消去したくない場合にリフレッシュを行います。復元は、アプリやデバイスをインストールした後にトラブルが生じた際などに実行すると効果的です。
クリーンインストールは初期化とほぼ同じ目的で行われます。不具合がある場合は、まずリフレッシュや復元を試してみて、解消されない場合に初期化、もしくはクリーンインストールを実行してみましょう。
初期化で改善できる問題【Windows10】
初期化は、多くのWindows10の問題を解決する効果的な手段です。具体的には以下のような問題です。
・動作が不安定
・処理速度が遅い
・ウイルスに感染した
・処分、売却時の個人情報の流出が心配
動作が不安定な場合や処理速度の低下を感じるとき、ソフトウェアの競合や不要なプログラム、設定の誤りなどが原因となることがあります。初期化を行うことで、これらの問題を根本から解消し、新品に近い状態に戻すことが可能です。
また、ウイルス感染の疑いがある場合、アンチウイルスソフトでの対応も1つの方法ですが、すべてのウイルスを完全に取り除ける保証はありません。初期化を行えば、ウイルスを排除して安全な状態にリセットできます。
処分や売却を検討している際には、個人情報の流出が心配になるでしょう。初期化を実施すれば、保存されているすべてのデータを消去し、第三者に情報が渡るリスクを最小限に抑えられます。
このように、Windows10の初期化は、さまざまな問題を解決する有効な手段といえるでしょう。
初期化をする際の注意点【Windows10】
Windows10の初期化は、実行する前に知っておくべき注意点が存在します。具体的な注意点は以下の通りです。
・バックアップがないとデータを復元できない
・時間を要する
・初期化後は再設定が必要になる
・完全にデータが消去されるわけではない
・ハードウェアに問題があると不具合が改善されない可能性がある
まず、バックアップがない場合、重要なデータを失ってしまう恐れがあります。例えば、写真やドキュメント、ソフトウェアのライセンス情報などです。
次に、初期化は思った以上に時間がかかる場合があります。特に大量のデータやアプリケーションがインストールされている場合、数時間は必要です。
また、初期化後は再度アプリケーションのインストールや設定が必要になることも理解しておきましょう。さらに、完全にデータを消去するとはいっても、専門的なツールを使用すれば復元可能なこともあるため、個人情報を含むデータの取り扱いには注意が必要です。最後に、不具合が初期化で解消されない場合は、ハードウェアの問題を疑ってみましょう。
Windows10の初期化を行う前には、上記の注意点をしっかりと理解しておくことが大切です。
初期化を失敗しないために必要な6つの準備【Windows10】
Windows10の初期化をする前には以下のような準備が必要です。
1.周辺機器を取り外しておく
2.ACアダプタを接続しておく
3.Microsoftアカウントのメールアドレス・パスワードをメモしておく
4.Windowsのアップデートをしておく
5.ファイルやデータのバックアップをしておく
6.セキュリティソフトをアンインストールしておく
初期化を失敗しないために重要な項目なので、チェックしておきましょう。
1.周辺機器を取り外しておく
初期化前に周辺機器を取り外しておくことで、トラブルのリスクを避けられます。例えば、外付けストレージやプリンター、USBメモリ、アンプやスピーカーといった機器などが挙げられます。
なぜなら、これらの周辺機器が接続されている状態で初期化を行うと、デバイスドライバーにトラブルが発生する恐れがあるからです。そのため、初期化を行う前には必ず周辺機器を取り外しておきましょう。
2.ACアダプタを接続しておく
初期化の途中で電源が切れると、問題が発生する可能性があるため、ACアダプタを接続しておくことをおすすめします。初期化は思ったよりも時間と電力を消費するので、途中でバッテリーが切れることがあるかもしれません。
例えば、バッテリーの残量が少ない状態で初期化を開始して途中で電源が切れてしまうと、OSが正常に動作しなくなる恐れがあります。そのため、初期化を行う際には、必ずACアダプタを接続しておきましょう。
3.Microsoftアカウントのメールアドレス・パスワードをメモしておく
初期化後に設定を復元したりOffice製品を再度使用したりするためには、Microsoftアカウントへログインしなければなりません。そのためには、Microsoftアカウントのメールアドレスとパスワードが必須となります。これを忘れてしまうと、再設定に時間を要することになるため注意が必要です。初期化を行う前に、必ずアカウント情報をメモしておきましょう。
4.Windowsのアップデートをしておく
Windows10の初期化前には、最新の状態にアップデートしておくことが大切です。古いバージョンのまま初期化を進行すると、不具合やエラーが生じるリスクが高まります。特に、アップデートの設定を手動にしているユーザーは、設定から最新のアップデート状況を確認し、適切に更新を行いましょう。
5.ファイルやデータのバックアップをしておく
すべてのファイルやデータを削除する初期化を実行する前に、大切なデータはバックアップしておきましょう。一部のデータを保持する「リフレッシュ」という方法も存在しますが、トラブル時にデータが失われる危険性も考えられます。外部ストレージに必要なファイルを移して保存し、初期化中はパソコンから外しておくと安全です。
6.セキュリティソフトをアンインストールしておく
セキュリティソフトは初期化の際にトラブルの原因になることがあります。Microsoft純正の「Windows Defender」以外のソフトを利用しているユーザーは注意が必要です。初期化前にはセキュリティソフトをアンインストールし、初期化完了後に再度インストールしたほうが安全に初期化できます。
Windows10を初期化・クリーンインストール・復元する方法
ここからは、Windows10の初期化やリフレッシュ、クリーンインストール、復元をする手順をそれぞれ解説します。なお、初期化とリフレッシュは同じ手順を踏むため、並行して解説します。
Windows10を初期化・リフレッシュする方法
Windows10の初期化とリフレッシュの方法は以下の手順で行います。
まずは「スタート」を選択し、「設定」に進む
「更新とセキュリティ」から「回復」に進み、「開始する」を選択する
「個人用ファイルを保持する(リフレッシュ)」にするか、「すべて削除する(初期化)」にするか選択する
OSを再インストールする方法を選択する
・「クラウドからダウンロード」は、最新のWindows10をクラウド経由でダウンロードしてインストールする
・「ローカル再インストール」は、パソコンにインストールされているOSと同じバージョンが再インストールされる
※ クラウドからのダウンロードは時間がかかるため、回線スピードが遅い場合は「ローカル再インストール」後にアップデートすることも可能です。
設定画面になるため、変更したい場合は「設定の変更」を選択する
設定の変更を行う場合は以下を参考にしてください
・プレインストールされていたアプリを復元しますか?
プリインストールアプリを復元する場合は「はい」を選択する。
・Windowsをダウンロードしますか?
Windowsのイメージをインターネットからダウンロードする場合は「はい」を選択する。
設定を変更しない場合は「次へ」を選択する
「このPCをリセットする準備ができました」と表示され、「リセット」をクリックすると、初期化もしくはリフレッシュが開始される(初期化やリフレッシュを止めたい場合は「キャンセル」を選択する)
以上で初期化・リフレッシュは完了です。
Windowsにログインできない場合の初期化方法
Windowsにログインできないときは、ログイン前の画面から初期化やリフレッシュができます。この際、「個人用ファイルを保持する」を選択すると、アカウントのパスワード入力が必要になるため準備しておきましょう。手順は以下の通りです。
ログイン画面右下の電源マークを選択し、「再起動」を「Shift」キーを押しながらクリックする
再起動後、オプション選択が表示されるので、「トラブルシューティング」を選択する
「このPCを初期状態に戻す」を選択する
「個人用ファイルを保持する(リフレッシュ)」にするか、「すべて削除する(初期化)」にするか選択する。「個人用ファイルを保持する」を選択すると、ユーザーアカウントのパスワード入力が求められる
以後の流れは、前項の手順3からと同じになります。
Windows10をクリーンインストールする方法
Windows10のOSのみの状態にしたい人は、「クリーンインストール」を実行します。クリーンインストール機能を使う場合、USBなどのインストールメディアが必要になるので準備しておきましょう。手順は以下の通りです。
Microsoftの公式サイトで「ツールを今すぐダウンロード」を選択し、ファイルを保存する
「MediaCreationTool」を選択・実行する
「別のPCのインストールメディアを作成する」を選択後、「次へ」→「次へ」をクリックする
「USBフラッシュドライブ」を選択後「次へ」→「次へ」をクリックする
Windows10がダウンロードされる
パソコンの電源を切りUSBを接続する
F3キー、F8キー、ESCキーなどを押しながら電源を入れる(キーはメーカーにより異なる)
「Windowsセットアップ」画面が開く
★言語やキーボードを確認し、「次へ」を選択する
「今すぐインストール」を選択する
「Windowsのライセンス認証」と表示されるので、プロダクトキーを入力する
持っていない場合は「プロダクトキーがありません」を選択する
OSを選択し「ライセンス条項」に同意する
「Windowsのみをインストールする」を選択後にインストール場所を選び、「次へ」をクリックする
「続けるには、Windowsを再起動する必要があります。」と表示されるので、「今すぐ再起動」を選択する
以上でクリーンインストールは完了です。
Windows10の復元ポイントの作成と復元方法
あらかじめ復元ポイントを作成しておけば、不具合が生じた際に復元ポイントまでさかのぼることができます。復元ポイントの作成方法は以下の通りです。
タスクバーにあるスタート(Windowsマーク)を右クリックして「システム」を選択する
メニュー右側の「関連設定」にある「システムの保護」を選択し、「作成」をクリックする
復元ポイントの説明を入力後に「作成」、「OK」をクリックする
以上で復元ポイントを作成できます。なお、「システムの保護」が無効になっている場合は作成できないため、事前に有効にしておきましょう。
続いて、システムの復元方法を解説します。「システムの保護」を選択するところまでは復元ポイントの作成と同じ手順です。
「システムの保護」にある「システムの復元」を選択する
推奨される復元」もしくは「別の復元ポイントを選択する」を選び、「次へ」をクリックする
「別の復元ポイントを選択する」を選んだ場合は、復元ポイントを選択して「次へ」をクリックする
表示内容を確認し、「完了」を選択すると復元が開始される
以上で復元の処理は完了です。
Windows10が起動しないときに初期化する方法
Windows10が起動しないときは、自動修復メニューからの初期化や回復ドライブからの初期化、パソコンメーカーが提供しているリカバリーツールでの初期化のいずれかを行います。
「自動修復メニューからの初期化」では、Windowsが起動しないときに表示される回復の画面にある「詳しい修復オプションを表示する」を選択します。その後は「ログインできない場合の初期化方法」と同じ手順で初期化やリフレッシュができます。
次は、「回復ドライブからの初期化」です。回復ドライブは、コントロールパネルの「回復」にある「回復ドライブの作成」を選択し作成します。その際「システムファイルを回復ドライブにバックアップします」にチェックが入っているのを確認し、「次へ」を選択して作業を進めてください。
回復ドライブから復旧する場合は、「自動修復メニューからの初期化」と同じように、「詳しい修復オプションを表示する」から、「オプションの選択」、「デバイスの使用」を選択して初期化を進めましょう。
「パソコンメーカーが提供しているリカバリーツールからの初期化」ですが、こちらはパソコンメーカーがリカバリーツールを用意している場合に実行できる方法です。具体的な手順はメーカーにより異なるため、ホームページで確認して初期化を実行しましょう。
※ マウスコンピューターでは、一部のMousePro製品ご購入時にリカバリーメディアをカスタマイズ(BTO)で選択可能です。
まとめ:Windows10の初期化は事前の確認・準備が大切
Windows10の初期化は、不具合の解消や個人情報の流出を防ぐ有効な方法です。しかし、トラブルにつながる恐れもあるため、紹介した事前の準備を行いリスクを減少させておくことが重要です。また、目的に応じてリフレッシュやクリーンインストール、復元を使い分け、Windows10の問題を解消しましょう。
お手持ちのマウスコンピューター製品に不具合が生じた際は、アフターサポートページからお問い合わせください。